日本国語大辞典に見る「超」の古い用例
超 〔接頭〕名詞に付いて、程度がそれ以上であること、あるいは、それをさらに逸脱するものであることを表す。「超満員」「超高速」など。善の研究<西田幾太郎>1・1「抽象的概念といっても、決して超経験的の者ではなく」西田幾太郎かよ!
『善の研究』の発行は1911(明治44)年です。なるほど、百年近くも前に用例があったんですね。
もっとも、「超経験的」というのは、「経験を超えたもの」であって、「トラウマになるようなスゴイ経験」という意味ではなさそうです。この用例からすれば、「超」のもともとの用法は「〇〇を超えたもの」であったろうと思われます。しかし、「超特急」のような使い方になると、「特急を超える列車」なのか「すごい特急」なのか、意味合いがどっちとも取れるようになってしまい、やがて今のように「すごい」とほぼ同義の意味になってしまったのでしょう。
言葉の意味なんて時代によって変るものですから、今更「正しい用法はこれだから警察の『超急カーブ』はおかしい」などと主張するつもりはありません。ただ、そのような意味にも使えるということを意識しておくと、表現の幅が広がって楽しいと思います。楽しんでいらっしゃる方の一例をこちらに紹介しておきます(リンク先18禁につき注意。もっともこちらのサイト様の場合、子どもには分からないから18歳以上じゃないと楽しめないよ、という意味のような気もします)。少々強引な結びつけですが、小生の乏しいネット経験で出会った範囲という留保つきとはいえ、もっとも魅力的な絵を描かれる方です。
ところで、「超特急」という言葉はもう死語なのでしょうか。「シベ超」ファン以外では、一部鉄道趣味者が戦前の「燕」を連想したり、新幹線の「ひかり」が当初超特急という種別だったことを思い起こすくらいでしょうか。
小生にとっては、「超特急」といえば戦前最高速の阪和電鉄なんですが、この話題は鉄道趣味者間でもなかなか通じにくいところが残念です。そういや阪和電鉄は京阪系だったけど、京阪にも「超特急」が確かあったな。関係あるのかしらん?
by bokukoui | 2006-05-01 23:38 | 歴史雑談 | Comments(3)

「超弩級」となってしまうのであります。

ア・プリオリの類義語のごとく使っているのでしょうか。
あれは接頭辞 super- の訳語ですよね。意味としてもやはり「超える」方のように思われます。「超甲巡」とかはどういうつもりだったのでしょうかね。
>ラーゲリ緒方氏
こちらの期待通りの箇所にツッコミありがとうございます。
経験を超えている、のだから普遍的くらいの意味なのでしょうか。やはりインテリぶるには『善の研究』とか『出家とその弟子』とか読んでおかない都といけないのでしょうね。