ナヲコ先生の近業について略感~『PETA ぺたっ!』Vol.04
・『PETA ぺたっ!』Vol.04 (コアマガジン)
すっかりこういう方面からも遠ざかっているのですが、しばらく前、このムックにナヲコ先生のイラストが掲載されているという情報を入手しまして、ようやく先日入手した次第です。今年7月発行の奥付になっているので、実際のところは6月末発売だったんでしょうかね。今頃になってそんなことに気づくとは、アンテナの低さに我ながら憮然となります。
ナヲコ先生は昨年秋ごろ以降、ネット上での発言をされなくなってしまい、ツイッターも一年余り前の10月始め以降沈黙されています(昨年末に投稿があった、という指摘もあります)。執筆活動としては、今年の1月発売の百合アンソロジー『dolce due』に「花の散るまで」という作品を寄せられていますが、それ以降は活動についてのアナウンスも無く、即売会方面は小生が多忙と金欠で出かける余裕も無く、さっぱりでした。そんな中、この夏に商業でのご活動があったことを、まずは大いに喜びたいと思います。
で、その掲載誌の『PETA ぺたっ!』ですが、雑誌コードを持ったムックという扱いのようで、中身は「ぺたっ」な所謂ロリ系のイラストやマンガであるとか、近年のその手の作品に関するガイドやエッセイなどを寄せ集めたものです。150ページ弱の厚みでマンガの本数は6本と少ない感じですが、まあ昔のコアマガジンで言えば、『アリスの城』あたりと似たようなコンセプトのムック、ということでしょうか?
このムックを手にしてまず思ったのは、サイズがB5と大きく、カラーページがとても多く紙質も良いようで、「立派」ということでした。その分、お値段も立派ですが・・・。ナヲコ先生はじめカラーイラストコーナーは巻頭にあって、20ページ以上が費やされており、結構メインコンテンツ扱いのようです。他には「たぬきそふと」の原画師インタビューが目玉記事でしょうか。とにかく立派で、カラフルで、印刷も綺麗なムックでした。
その反面思うのは、こういったエロ方面のごた混ぜ雑誌・アンソロの類は、混沌さをもってこそ良しとすべきではないのか、ということでした。ありていに言えば、綺麗過ぎてどうも読みどころがない感じなんですね。本誌では、ネット上で小生も記事を拝読したことのある「たまごまご」氏が「心の中の微少女たち」という題で、マンガの中の少女キャラクターについて書かれているのですが、その内容もどうもありきたりな感じをぬぐえず、氏ならばもっと面白いことを書けるはずではないか、と思わずにはいられませんでした。なお、本誌の Vol.1 ではかの有村悠氏もエッセイを書かれていたそうですが、どんなことを書かれていたのか、ちょっと気にはなります。
このごたまぜ的内容こそエロのパワーを感じさせて雑誌を面白くする、というのは小生のかねてから感じているところで、特に成年コミック雑誌においてその「混沌さ」を具現化した存在こそ、三峯徹画伯に他ならない、だからこそ三峯画伯はエロマンガの「神様」なのだと、小生は主張したいところです。この観点から、カマヤン先生やナヲコ先生などのこの手のマンガについて、以前友人と何度か議論したこともあり、いつか記事をまとめてみたいのですが、当分先のことになりそうです。
ナヲコ先生の本誌における画業について感想を述べますと、小生はかねてよりナヲコ先生の絵の魅力はモノクロでこそ際立つと主張しておりまして、やはり今でもそう思います。ですが、二十数枚もの似たようなCG彩色の、肌色やピンクの暖色系の派手な色が飛び交っている中で、ただ一枚、ぱっと目に入ったときの印象が「寒色系」なのは、さすがナヲコ先生と思います。青のリボンの使い方が一陣の涼風となっていました。キャラクターの造形にしても、やはりみんな似たようなCG萌え美少女になりがちな中で、異彩を放っておられたのは嬉しいところでした。
ナヲコ先生の今後のご活動がどうなるのかはまったく分かりませんが、「百合」方面での一定の実績のほか、かつての活動拠点だったコアマガジン系に戻られるのでしたら、それはそれで小生としては楽しみでもあります。どんな形でもあれ、今後もご活動を続けていかれることを祈念してやみません。