台湾の「反日」!?観光キャンペーンと怪しいゆるキャラ~台湾ところどころ(1)
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少し前に、ちょこっと台湾の台北周辺を観光する機会がありました。といって、特段研究に関係があったり、ブログに書くようなネタを探してたわけではないのですが、せっかくなので小ネタをひとつふたつ。
そんなわけで台北の街を歩いていたとき、上掲写真のバスが目に入りました。「反日租」と車体側面に大書されています。いきなり、若い女性の肖像と一緒に「反日」なんて文字が目に飛び込んできたので、ちょっとびっくりしました。おまけにその下には「抗日」なんて文字も書いてあります。
で、地下鉄に乗りましたところ、ホームの広告看板にも「反日」の文字が。
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今度は、くま○ンの弟みたいなゆるキャラが背中を見せている横に「反日租」の文字がでかでかと。
小生は、いわゆる「親日」「反日」といった切り分け方で国家や民族などを論じる手合いを嫌悪してやまない者であり、先日の当ブログでもそういった内容を述べました。ですので、台湾が「親日」だから云々、なんて言辞は絶対に口にしたくないのではありますが、さすがにでっかく記された「反日」の文字に、一瞬ギョッとしたのは事実でした。
とはいえ、美女にゆるキャラと、どうも国際問題を居丈高に宣伝するものとは思えません。いったいこれは何の宣伝なのか、さすがに気になって、帰国してからネット検索してみました。すると、台湾観光局のこんなページが見つかりました。
・台湾観光局サイト「「反日租-全民出擊大行動」正式出擊 代言人阿喜再領軍 揪出非法日租套房」
小生は遥か以前に、中国語を第二外国語として習ったような気もしますが、大学の専門課程以降のここ十年はまったく遠ざかっており、さっぱりわかりません。そこで翻訳サイトにかけてみましたが、日中間の機械翻訳はなお技術的に開発途上であることが判ったのみでした。なので、高校時代と日本史の学習で得た漢文の知識によって意味を推測してみたところでは、これは「反日」とはまったく関係なく、どうも「反―日租」という成り立ちのようです。で、上掲タイトのタイトルにもありますように、「日租」とは「日租套房」の略のようです。
「日租套房」とは、これは漢字を拾って訳するに、「日貸しの部屋」くらいの意味になりそうです。ということは、日本語では「ドヤ」・・・というのは乱暴すぎるでしょうが、どうもそういった安い宿のことのように思われます。そのような安宿の中には、宿泊業として公式な手続き等をしていない「非法」なものもあるようで、そんなのをなくしていこう、といったキャンペーンと思われます。こういった不法宿屋は、衛生や消防などの面で問題があり、一酸化炭素中毒で死んだり犯罪に巻き込まれたりすることもある、と書かれているようですね。
で、バスの広告に登場していた女性ですが、この方は阿喜という名前のネットアイドル?のようで、この人をいわば不法宿屋摘発のキャンペーンガールに登用した、ということのようです。
一方、地下鉄の広告のゆるキャラですが、これは台湾観光局の日本語サイトを見ていたら、こんなお知らせがありました。
・台湾観光局サイト(日本語)「【NEWS 台湾の窓】「Oh!Bear」が台湾観光キャラクターに就任」
というわけで、「台湾喔熊」こと「Oh!Bear」=オーベア君という台湾オリジナルのゆるキャラだそうです。「交通部観光局「スーパー班長」」就任が9月1日のようなので、この「反日租」キャンペーンは彼の初仕事みたいなものでしょうか。
で、オーベア君には公式サイトがあって、日本語版もありまして、動画なんかも掲載されています。
・・・。どうも、く○モンの目つきの悪い兄弟のように見えてしまいますが・・・。そういえば、絶対に熊本と関係なさそうなくま○ンTシャツとか、夜市で売ってたような・・・。
というわけで、「反日租」キャンペーンとは、不法な宿泊施設を一掃しようというごくまっとうな観光振興キャンペーンでした。その宣伝をセクシーネットアイドルと怪しいゆるキャラでやるというセンスはともかく、方向性としてはごく妥当ですね。
とはいえ、文字面だけ見たら日本人観光客はちょっとギクリとするので、せっかく台湾観光局には日本語ページもあるんだし、どっか日本語で説明がないかと思ったのですが、どうも見つかりませんでした。考えるに、日本人観光客が台湾に行く場合は、宿泊や飲食の値段は日本より安いので、わざわざ「日租套房」を利用する者はほとんどいないということでしょうか? とにかく安くしたい、というバックパッカーにとっては、台湾は相当に発展しているのでかえって魅力がなく、タイとかベトナムとかもっと「発展途上」の国へ行きそうですし。「日租套房」の被害者は、台湾内や大陸や香港の中国人とかが中心なのかな、と思いますが、これは小生の語学力の限界からよく分かりません。
日本人観光客にとって、台湾は漢字(しかも繁体字=旧字体)なので書いてあることの意味が何となく分かり、とっつきやすい旅行先です。なんですが、同種同文と単純視すると、びっくりすることもある、というお話でした。
ところでオーベア君、来年は是非「ゆるキャラグランプリ」(今年は『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』の魚心くんもエントリー!)に参戦して、くまモンとツーショットとか魅せて欲しいものです。
ご丁寧な解説ありがとうございます
しかし、クマもんのパクリキャラの目つきのあやしいこと...
語学力皆無なもので、この解釈がどこまで正しいか冷や汗をかいております(苦笑)
オーベア君はくまモンと「提携」を図っているらしいですが・・・
http://www.taiwanembassy.org/ct.asp?xItem=481688&ctNode=12547&mp=257
熊本側の反応は不明ですw
でも反日と思っていた看板が実は違う意味だった辺りを見るとそれほど日本憎しな国ではないみたいですね。
逆に中国であっても国全部が一枚岩な筈はなく、中国にも日本嫌い派、SATUGAIしたいほど日本嫌い派、どうでもいい派、親日派、寄生したい派などなどいろんな派閥があると思います。
決して反日にだけ労力を注いでるわけでもないかなと思います。
反日教育って政治家がうまく戦争やそれ以前の小競り合いが起きないように手腕を発揮するべきであって、国民を煽ってもねえといった感じであの国の教育にはほとほと呆れています。