今日の東急デハ5001号の状況(73)
先日のことですが、ネットで以下のニュースを知り驚きました。
渋谷駅前「青ガエル」に落書き 相次ぐ破損「悲しい」
渋谷駅頭のデハ5001号を長年(もう十年近くになるのですね・・・)追っかけてきた小生のこれまでの経験では、経年による風化のほか、正面の窓ガラスに引っかき傷がつけられたり、ワイパーが悪戯されたので外されたり、正面の行先表示板(レプリカ)が盗まれたらしく新しくなったり、ライトアップの照明が割られたり、ガムやシールがつけられたりといったトラブルは承知しておりました。しかし、ここまで大々的な落書きはいままでなく、衝撃を受けるとともに、これが全国ニュースとなっていたことにいささかの感慨を覚えました。
そこでこの情報を得た数日後、所用で渋谷を通りかかったので、合間の時間に急いで撮影をしてきました。
今回は落書きの影響について重点的に、急いで写真を撮ってきました。上に掲げた写真は側面の全体ですが(土曜の昼間なので人出が多く見づらいのはご寛恕を)、今年5月撮影の前回の記事と比較すれば、黒い落書きが目に付こうかと思います。
それでは、前から順に見て行きましょう。
目にした第一印象では、一応掃除をしたのか、雨で流れたのか、報道の写真よりは落書きがだいぶ目立たなくなっているということでした。
細部を見て行きましょう。
運転台のドアには以前から大きな塗装の剥がれがありましたが、そこにも何やら英文字が落書きされています。また運転台扉の窓の下にシールが貼られていますが、これは以前からされていた悪戯です(今年の5月にはありました)。
一見目立たなくなっていたように見えた件の落書きの方は、車体に近づいてみるとかなり悲惨なことになっているのが分かりました。
ご覧のように、落書きが雨で流れたのか、墨汁をぶっかけたような汚れが一面に広がっています。これは消そうとしたというよりは、風雨でこんなようになったということかと思われます。
運転台寄り扉の戸袋窓と、その次の窓との間は、以下のようになっていました。
ここでは、車体の上の方では落書きが痕跡をとどめていますが、窓の辺りから下はやはり中途半端に落書きを拭ったようになっています。多くの人が寄りかかったりするのでこうなっているのでしょうか? もっともそんな簡単にスプレー塗料が落ちるものかどうかは、ちょっと疑問ですが。
いっぽうこちらでは、無残にも落書きで車体下部のナンバープレートが汚されてしまっておりますが、一方でその上は落書きが流れたようになっており、場所によって状況が異なっています。なお、今回は落書きの状況中心で錆などはあまり注目していませんが、「5001」の「0」にかかっている錆の汚れは、前回の撮影の折と比べても酷くなっているように見えます。
さらに向かって右手の窓(車端部寄りドアの向かって左手の窓)のあたりを見てみましょう。
この窓の上には、かなりはっきりと落書きの跡が残っていますが、窓の下の車体は落書きが流れてドロドロになっています。黒い塗料にまみれて分かりにくいですが、一番下の写真に写っている塗装の剥がれた傷は、以前よりも大きくなっているように見受けられます。
最後に、車端部寄り扉の戸袋窓附近を見てみましょう。
このあたりも、落書きの汚れが流れ出して見苦しいことになっています。また、戸袋周辺の車体側面のリブについた傷が、増えているようです。
一方、妻面の方は落書きの影響はなかったのですが、何やら台座のところに貼紙があるのが目に留まりました(次の写真の赤丸の箇所)。
貼紙の「撤去公示」という文字を見て一瞬ギョッとなりましたが、これはデハ5001を撤去するというわけではなくて、放置自転車・バイクの撤去をしたという公示でした。それにしても、こんな人通りの多いところに自転車やバイクを放置する人がいるとは、大した神経をしていますね。貼紙を車体に張らない配慮は結構なことですが、これでは目に付きにくいのが難点ですね。「タウンセキュリティ」云々の壁にでも貼ればよかったのでは、と思います。
時間の都合で人ごみを縫っての大急ぎの観察でしたが、落書きの顛末は以上のようです。先の新聞記事では「落書きを放置すれば被害が続いていく恐れがあり、防御が必要。すぐに消して、マナー向上も呼びかけたい」とのことですので、それ相応の対応が取られるか観察を続けたいと思います。またこの新聞記事では、渋谷区のデハ5001に対する窓口が分かったのも収穫でした。
一応、区や地元では、デハ5001を保全する意志はある様ですが、そもそも当初の構想の「民間交番」から使途が転々と変わり、今は観光案内所兼NHKの宣伝ブースみたいになっているこの車体、渋谷のなおも続く再開発の中でどう変転して行くのか、慎重に見ていきたいと思います。あまりにも掃除をしないようであったら、これはもう同志を募って名乗りを上げるとか・・・