食と教育について雑感
それにしても最近の若い子は、昔地形図を作っていたのが陸軍参謀本部の陸地測量部だと知らないんだねえ、というのはヨタにしても、国土地理院が国土交通省所属になっているところに微妙に時の流れを感じてみたり。
それと全く関係ありませんが、本日夕刊の日経新聞の記事を読んで知った話で、品川区の鈴ヶ森小学校に於いて、最近流行りの「食育」というのか、朝食をとる食習慣の大切さを実践するような話題が載っていました。六年生の二クラスを対象にして、一方のクラスは早めに登校させてボランティアによる一律メニューの朝食を摂らせ、もう一方のクラスは今までどおりの生活を行うということを三週間行ったそうです(こちらが同小学校のサイト)。何となく「ためしてガッテン!」の企画みたいな感じがしますな。
で、結果は現在集計中だそうですが、何でも子供たちの集中力が上がっただか、計算問題かなんかのなんだか点数が上がっただかの効果があった、みたいらしい、ようなことが記事に書かれていました。
しかし、それって、「特別扱い」されて注目されているクラスの子供たちの士気が上がった、ということが実は大きいんじゃないかという気がします。
食文化は様々な側面を持っている大変興味深いもので、小生も食文化関連の本を読むのが結構好きだったりしますが、それを「健康」の名の元に教育現場に押し入ったり、その際に「伝統」の食生活(それは往々にして「自然」と規定される)をやけに高く評価したりするのは、どんなもんだかなと思うこともあります。この「伝統」もご多分に漏れず、ホブズボームばりに言えば「創造された伝統」ということはよくありがちなことで、今から七十年余り前に書かれた柳田國男『明治大正史世相篇』の食文化の末節には、
温かい飯と味噌汁と浅漬けと茶との生活は、実は現在の最小家族制が、やっとこしらえ上げた新様式であった。これを超越してまたこの次の案を夢むべく、あまりにその印象が深く刻まれているのである。なんて書いてあるしねえ・・・。
あと、朝食を摂る食習慣というのも、地域的・歴史的に必ずしも普遍的ではないのではないかとも思います。
以上、「好き嫌いがない=味も分からぬ田舎者」という家訓の元で育ち、給食が嫌さに中学受験をした人間の戯言でした。