「萌え」の魔の手に気をつけろ
さて、その席で話題になり、このサークルの現在の中心人物がやっているブログで既に議論が出ているのですが、斯様なアニメが今度(小生の住んでいる神奈川県では明日から)放映されるそうです。
なんだかなあ・・・
先日渡辺プロデューサー宅を訪問した折、氏が購読している『電撃G'sマガジン』をめくったら、こんなゲームが最近発売されているそうではありませんか。
ますますもって、なんだかなあ・・・
去年は、こんな本も出てましたよね。
アマゾンの一番下のレビュー(2005年7月9日付)はなんだかなあ、ですね。戦車が好きなら、無機質に並んだカタログデータの数字だけで、素気ない地図と文章の戦況だけで、もう充分楽しくて仕方ないんです。お仕着せの「萌え」みたいな面白さなんか、そこでは余計な夾雑物に過ぎません。戦車に没頭するとは、そういうことです。「萌え」の没頭も、多分もっと適切なやり方があるでしょう。
いくらなんでも、なんだかなあ・・・
そういえば、下でコメントくださった酒井さんのサイトの掲示板でちょうど一年前、「メカ娘」なるものが話題に上っておりました。それを見た時にも、上記三件のような「なんだかなあ」感に襲われたました。書き込みの時機を逸したので、執念深くここで文句を書いておきます。
何かというと、一瞥して「Ms-462」って表記に違和感を覚えたので、手元の資料をごそごそやったところ、どの本もモラン・ソルニエの表記は「MS」(両方とも大文字)でした。ドイツ軍の表記法と混同しとるやんけ。
まあ、それは些事としても、こういう風潮を見てると思うことがあるわけで。
あのですね、メカ好きならばもうメカ自体でお腹一杯、陶然となって時を忘れる、それがスジってもんじゃないですか。軍事に関心があるならば、戦史に関心があるならば、それが第一、「萌え」なる余計な付加価値をくっつけてどうしようというのですか。その関連に何の必然性があるというのですか。「萌え」属性にコンバートしてもらわないと、メカの魅力を感じることができないんですか。
ああ、内輪のお笑いネタなら構わないんですよ。兵器擬人化は多分モデル・グラフィックス誌の「艦船ちゃんいらっしゃい」という、イラスト投稿コーナーから始まったのではないかと思われますが、モデグラ誌の隅っこでやってる分には、或いはコミケやワンフェスの一隅でやってる分には文句など申しません。
しかし、斯様に商売にされてしまうと、なんだかなあ・・・
小生とて実は、戦史に関しては「広く浅い」初心者に毛が生えた程度の者ですが、それでもその世界にある魅力の何たるかは、少しは分かっているつもりです。本業は鉄道ですけど。
「萌え」な世界にも、それはそれで魅力があると思います。それを否定するつもりなんか全くありません。
そしてこの両業界を兼業している人間が多いのもまた事実ではありますが、だからといってくっつけりゃいいってもんじゃないでしょう。
そして、こういうくっつけばっかりやっていると、メカや軍事そのものへの関心よりも、それを使ったネタや「萌え」をばら撒き、仲間内で笑いを取って馴れ合うことに趣味活動が向いてしまい、最も大切な探求し研究することがおろそかになってしまうのではないか、と心配になります。それは、ミリタリーマニアの世界全体の活力低下を招き、「萌え」を振りまく一部企業が刹那的な利潤を上げるだけに終わってしまうのではないかと思うのです。
取り越し苦労ならいいんですけど。ねえ、S竹会長。
なんだかなあな心を癒すべく、何冊かの蔵書を手元に出して読み返しています。
まずはナジェージダ・A・ドゥーロワ『女騎兵の手記』新書館。16歳の時、ナポレオン戦争に男装して加わったロシアの女性の手記。ただ本当はもっと年上で、結婚して子供もいたらしいんですが。人間ドラマとしては、夫を捨て子と別れ戦場へ旅立つ、という方が興味深くはあります。
ついでコマンドマガジン21号。この号には、ケレンスキーの臨時政府時代のロシア軍に存在した「現代史上初の完全な女性部隊」とその指揮官、マリア・ボチカレーワについての文章が掲載されています。
最後に秦郁彦『第2次大戦航空史話〈中〉』中公文庫。この本には、第2次大戦中のソ連の女性飛行士部隊、そしてエースのリディア・リトヴァックの話が記されています。
あれ? 実話の女性兵士ものを集めたら何故かみんなロシア人の話でした。時代は全部違うのに。女性兵士の本場はロシアなんでしょうか。
やはり、『ブラック・ラグーン』最強は、レヴィでもロベルタでもなく、バラライカ様ということで。
昨今は珍しくもない女性兵士ですが、やはりロシア・ソ連が本場ですね。個人的な興味は「婦人大隊をユニット化した場合の移動・戦闘力はいくつくらいだろうか」という方向に集中していますが、一方で多少の期待も持っています。それは女性兵士の積極的採用による兵器の小型化です。もし一般的に見ても男性兵士と同等の機能を有するのであれば、体格等で比較的小柄な女性兵士は兵器システム全体を小型化するのに有効なのではないかと妄想しています。
妄想は尽きませんがこの辺りで自粛しておきます。それにしても「ブラック・ラグーン」は存じ上げておりませんでした、勉強不足に恥じ入るばかりです。
草創→成長→爛熟→衰退→再生、とでも言うべきサイクルのある段階で、「なんだかなあ」はきっと呟かれ続けてきたのでしょうね。また再生して次のサイクルに入ることで、長い目で見れば発展していくのだ、そう考えましょう。
コマンドの記事に拠れば、婦人大隊は士気が極めて高かったことは間違いないようですので、通常の帝政ロシア軍ユニット士気値:1なら、婦人大隊:3でいいのではないかと思います。装備の戦力クラスはどっちもCでしょうが(以上、『オペレーション・タイフーン』のユニットの方式を採った場合)。
兵器システムを小型化すると同時に、密度を上げるような方向にも仕えるかもしれませんね。よく知らないんですが、小口径銃弾にすることで、銃を軽量化することもできるでしょうけど、携行弾数の増加が何よりメリットであったみたいに。
同志緒方が『ブラック・ラグーン』をご存じないというのは些か驚きでありました。これに楽天のポイントを使ってはいかがでしょう。