鍋焼うどんの探求(44) 食堂びっくり屋@三次(広島県)

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食堂びっくり屋の鍋焼うどん(600円)

 さる3月いっぱいで、中国地方のローカル線・三江線が廃止されました。中国地方のローカル線はどこも厳しい状況にありますが、中途半端に新しい三江線は観光の要素にも乏しく、比較的長距離だったため沿線に多数の自治体があって利害調整が難しかったこともあり、結局廃止に至りました。
 小生は芸備線や木次線、現在は一部区間が廃止された可部線などには乗ったことがありましたが、三江線は残念ながら乗る機会がありませんでした。なので、「葬式鉄」と揶揄されても、今度ばかりは乗らないと機会を逸するというわけで、この3月に重い腰を上げて乗ってきました。

 で、このブログは鉄道の話題も多いので、その旅行記・・・というわけではなく、それは多くの人が書いているでしょうから敢えて当ブログでは触れず、その道中で出会った鍋焼うどんについてレポートします。




 小生は江津に宿を取って始発の三江線に乗った後、福塩線で福山へ行き、折り返して井原鉄道に乗り、吉備線を経由して岡山に行きました。三江線は廃止になるくらいですから本数もごく少なかったのですが、福塩線の非電化区間も似たり寄ったりで本数が少なく、三次の乗り継ぎには相当の時間がありました。三次は中学生の頃、とは20年は前に来て以来です。当時は芸備線の朝夕ラッシュに客車列車(DE10牽引の12系客車)があり、それに乗るため三次のユースホステルに泊まったものですが、さすがに記憶も薄くなっています。
 なので、初めて来たような気分でしばらく街をぶらつきます。
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 古めかしくも威厳のある銀行の建物に、往時の繁栄などをしのんで時間を潰してから、目星をつけておいた昼食処に向かいました。
 それが駅からちょっと東へ行ったところにある、その名も「食堂びっくり屋」!です。

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大和旅館と同居している食堂びっくり屋
店の前のお品書きに「鍋焼うどん」の文字が

 いかにも、ふた昔以上前の「駅前旅館」といった佇まいの小さなビルの、1階が食堂になっています。いわば、ホテルに入っているレストラン・・・のような位置づけなのでしょうか。入口のオレンジの幌も、正面の行灯式のお品書きも、時代がかっていますが綺麗なのは安心です。しかもお品書きに「鍋焼うどん」の文字が! となれば、期待しないわけには行きません。早速入ってみます。
 中は4人卓が3つと、小上がりにもう2つテーブルがある程度です。なんだか一昔前の住宅の居間にお邪魔したような雰囲気・・・と感じたのは、壁際や卓上に色々なものがごたごたと置かれていたからでしょうか。初入店でも何だかくつろげてしまう感じです。乗り継ぎの都合からお店を訪れたのは12時前でしたが、すでに2人の先客がおり、後から来た人もいましたので、地元では親しまれているようです。おばさんとお婆さんが切り盛りしています。

 席について、店の入口の衝立に張られているお品書きを見ます。まこと、大衆食堂らしいラインナップでした。
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 ちなみに、上の写真左の見切れているところには、玉子丼(汁付)550円・かつ丼(汁付)700円・牛丼(汁付)700円・焼肉丼(汁付)750円と掲示されています。鍋焼うどんは600円と、麺物の中では高いほうですが、定食よりは安目という感じのようです。といっても600円ですから、蕎麦屋の鍋焼うどんに比べれば安いものです。
 なお、メニューの「唐めん」というのが何物か気になりましたが、このときは鍋焼を優先してスルーしました。あとで調べたところでは、三次のある店で扱っていたものが、名物B級グルメとして売出中のようです。辛い物好きとしては捨て置けませんが、これはまたの機会に。
 さて、本題の鍋焼うどんに戻りましょう。本記事冒頭の写真をご覧ください。
 そこそこ大きい土鍋が、皿に乗って登場します。さっそく、具を確かめてみましょう。

 ・かまぼこ×2
 ・牛肉(少し甘い)
 ・玉子(黄身が生の半熟)
 ・とろろこんぶ
 ・天かす
 ・にんじん
 ・しめじ
 ・玉ねぎ
 ・細ねぎ

 特徴あるラインナップです。牛肉を入れた例は(自分で作るときはあれば入れてましたが)珍しいですが、西日本では他にもありそうなので、今後の調査が必要です。とろろこんぶを入れているのも、西の特徴なのかもしれません(関西ではよくうどんに入れますが、関東ではあまり見ない気がします)。あとにんじんに玉ねぎというのは・・・他のメニューとの共通運用、なのでしょうか。しかし、かまぼこは2枚しっかり入っていて、やはりかまぼこ(のような練物)が鍋焼のアイデンティティーなのかと思わされます。
 うどんは細めで、かなり柔らかい感じでした。讃岐うどんブームのせいで、うどんといえば「コシ」という風潮が近年あるようにも思われますが、関西や九州など西日本のうどんは柔らかいのが普通のようで、このお店もその通例に従っています。つゆは西日本らしく甘みの無い、塩味の強いものですが、食べているうちに牛肉から出たものなのかほのかに甘みを感じるのがいいところです。天かすやとろろこんぶがつゆに馴染み、玉子の黄身が溢れて、小生が鍋焼うどんのポイントと考えている鍋全体の一体感が感じられ、なかなかです。

 このブログでは過去に2例、川崎と大阪市内で「大衆食堂の鍋焼うどん」を探訪しました。
 大阪の探求記事に書きましたが、小生はこのような「大衆食堂の鍋焼うどん」こそが、鍋焼の歴史上は「正統」なのではないかと考えています。ですので今回、地方でこのようなお店にめぐり合えたことは、もしかすると三江線に乗ったことよりも、意義深いことかもしれない、などと思ったりもしました。
 今後とも折を探して(それが難しいのですが・・・)、さらなる探求を続けて行きたいと思います。

 結びに代えて、お店の場所の地図を掲げておきます。



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by bokukoui | 2018-05-06 23:21 | [特設]鍋焼うどん探求 | Trackback | Comments(0)

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