このブログで2006年の設置以来断続的に取り上げている、渋谷駅頭のデハ5001号のことですが、大きな動きが報じられました。
なんと、はるか秋田県は大館市に移設されるというのです。
旧デハ5000系は東急線を引退してから、長野や静岡、福島に熊本など全国各地で活躍しましたが、秋田には縁がありません(そもそも秋田県に電化私鉄は現存しません)。ハチ公の出身地という関係はありますが、ハチ公とデハ5000の関係はありません(ハチ公が死んでずっと経ってから5000系ができました)。正直、取ってつけたような話だとは思います。
とはいえ、このところ渋谷は「百年に一度の再開発」として大々的な工事が行われており、銀座線渋谷駅も移転しましたし、東急東横店もこの3月で閉店するということです。そんな再開発を取り上げたメディアも多いのですが、それらを瞥見した印象では、その再開発後にデハ5001をどうするのかという話はまるで出てきていないようでした。なので私は、この再開発の結果として、そもそもの発端から東急車輛側の「厄介払い」的色彩があり、十年以上見てきても渋谷区がどう扱うのかまったく定見が無かったとしか言いようがない、このデハ5001は、撤去処分されてしまうのではないかと懸念していました。
その予想からすれば、一応身の振り方が考えられたというのはホッとすべきことではありますが、渋谷区がろくに活用法を考えなかったあげく、遠陬(というといささか大館には失礼ですが)の地に追いやってしまうのは、これまた「厄介払い」の印象を免れず、日本鉄道史上画期的なこの車両の価値を、渋谷区も東急もついぞ認識せぬままであったという悲しい事実は、変わらないといわざるを得ません。
当ブログも、諸事情でデハ5001のみならずブログの更新が滞ってばかりで、申し訳ない限りです。実は昨年にも、上京の折にデハ5001を撮影していたのですが、日々の仕事などにかまけて、ブログに掲載できないままでした。今回の報道を受け、とりいそぎ昨年の撮影結果をアップしておきます。
今後の予定は、上掲記事によると、
「青ガエル」は今後、2020年5月下旬から6月上旬にかけて、渋谷駅ハチ公前広場から移設。7月より、大館市観光交流施設「秋田犬の里」芝生広場にて、「忠犬ハチ公」を中心にした渋谷と大館の歴史に関する展示をしながら、施設来場者の休憩場所として使用する計画だそうです。
渋谷区では、「『忠犬ハチ公』像と共に渋谷の象徴となっている『青ガエル』移設により、大館市との繋がりを強化し、同市の『忠犬ハチ公のふる里』としての知名度を高めると共に、さらなる観光客の誘致に繋がること」を期待しているといいます。
だそうです。
長年デハ5001を見てきた当ブログとしては、可能な限り移転についても見守り、秋田へも調査に行くつもりです。日本鉄道史における「負の歴史」を将来にとどめるために。