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追報:ネットで目に付く「歴史修正主義」書籍の広告について~三橋貴明を断捨離しよう

 近年の当ブログで、コンスタントにアクセスいただいている記事が、ネットでよく見かける怪しい広告について検討した、「ネットで目に付く「歴史修正主義」書籍の広告について」です。


 この記事はもう3年近く前のものですが、あれから3年経っても事態はあまり変わっていません。ひところほどではないですが、ダイレクト出版の広告はやはり目に入ります。
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最近目に入ったダイレクト出版の広告バナー

 前記事のコメント欄やツイッターでの反応で、ユーザーに合わせて広告は出される仕組みなのだから、単に観察した私が歴史系のページをよく見ていたから目についたのでは、という指摘がいくつもありましたが、多少の偏りこそはあれ、あれだけ広い範囲に長期間広告を掲載し続けているのですから、相当の広告費が投入され続けている≒歴史修正主義で「カモ」を釣る手法が利益を上げている、ということはいえるのではないかと思います。まことにうんざりする話ですが。

 さて、この手の広告について、前回の記事ではあくまでも、画像で視界に飛び込んでくるものばかりを取り上げたのですが、先日作業の徒然に youtube を流していたところ、なんと耳からこの手の広告が押し入ってきて、いたく不快な気分にさせられました。




 皆さんも youtube で、自動作成のリストに従って音楽を流し放しにしていたことがあると思います。その時、無料で利用していると、動画ファイルの切り替えの間に広告が挟まることがあります(時には動画の最中にも)。そこに、ダイレクト出版のそれと同工異曲の広告が流れたんですね。ボーカロイドみたいな音声で(声優雇うのをケチった?)、上野千鶴子氏を誹謗中傷するような内容でした。困ったことにこの手の広告動画は探しても検索に引っかからず、直接リンクすることができません。その時はフンマンのあまり即座にタブを閉じてしまったのですが、頭が冷静になってからリロードを繰り返し、全く同じではないものの似たような広告が出てきたので、広告をスキップした後の画面にリンクが残っているのをスクリーンショットで捉えたのが以下の画像です。
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youtube の画面(上)と、問題の広告の拡大図(下)

 この広告で張られている写真はおそらく、幕末の陰謀論ネタの震源地の一つである、「フルベッキ写真」のようですが、これをクリックすると三橋貴明という、ネトウヨ系の怪しい自称経済評論家の、宣伝ページに行きつきます。それをプロデュースしているのが、経営科学出版とかいう出版社なのですが……
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 ……何のことはない、この会社は前記事で糾弾したダイレクト出版の関係会社なのですね。なんでわざわざ看板を変えてやってるのかは分かりませんが。だから商法はまるで同じで、この場合だったら三橋の、『99%の日本人が知らない明治維新の大嘘 「司馬遼太郎の日本史」の罠』とかいう、むやみに長いタイトルの本を送料のみで送ると銘打ってカモを集め、そのあと高価な情報商材なり、たくさんのビジネス本なりを売りつけるという算段なのは間違いありますまい。ちなみにこの経営科学出版の場合は、ダイレクト出版よりももっと露骨に、三橋の「月刊三橋」なる音声データを月2回配信するサービスの宣伝をしています。
 明治維新なり太平洋戦争なり、誰もが知っている歴史上の出来事を「本当は~なのだ! 教科書は嘘!」と煽るのは、前記事で取り上げた藤井厳喜と同じ手法です。パターン化してるからやりやすいんでしょうが、このパターンに引っかかる人が多いから、関係会社まで使って同じことをやっているのでしょう。いやはや。

 この経済評論家と称する三橋貴明について、経営科学出版のサイトでは以下のように紹介しています。
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 バカも休み休み言え。「一般的な経済評論家は年に2~3冊も本を出せれば十分という中で、毎年10冊近い執筆を続け……」それは、粗製濫造しているだけでしょう。内容のある本を書こうと思ったら、年に2冊もできるかどうか。三橋はふた月で一冊以上をテキトーにこしらえているから、たくさん出せるわけで、100冊を超えるというのも紙屑の山を築いただけです。もっとも、それでも売れているというのが呆れるべきところで、そんな本を買っている連中は、宮武外骨の言葉を借りれば「紙屑買の大馬鹿者」となるでしょう。早く目が覚めて欲しいものです。
「紙屑買の大馬鹿者」の元ネタを知りたい方はこちらをどうぞ

 さらに、三橋は2007年に韓国経済がヤバいという本を書いて売れたそうですが、それから14年経ってどうなったでしょうか。日本経済が相変わらず停滞しているのに対し、韓国経済は成長して次第に日本に迫り、一人当たりGDPや労働生産性で日本を追い越して日本企業は韓国の若者から見て金銭的な魅力を失い2021年にも「生活の豊かさ」で日本を凌ぐという観測もあるくらいです。ヤバいのはどっちだったのか。
 本当にヤバいのは、おそらく経済が停滞していることよりも、それを直視してなにがしかの対応をするのではなく、韓国の悪口を言って自らの状況を糊塗する、差別による現実逃避でしょう。日本の現状が困難なのは遺憾ながら事実にしても、そこで駝鳥が砂に頭を突っ込むごとき(本当は駝鳥はそんなことしないそうですが)行為をしてしまい、しかもその手段に差別を選ぶという、二重三重の陋劣さです。これを煽っているのが三橋であり、経営科学出版であり、ダイレクト出版なのです。
 しかも聞くところでは、三橋は自民党から選挙に出たこともあり(さすがに落選しましたが)、こういった差別を利用した卑劣漢を与党が利用し、国民をますます現実逃避させて、長期的に日本をより確実な衰退と精神的退廃に追い込んでいるのです。

 三橋の濫造している本に合わせて、広告バナーもいくつか種類があります。前回の記事程は集めていませんが、目に入ったものをちょっと並べてみましょう。
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三橋の明治維新本の宣伝バナー3種

 司馬遼太郎『坂の上の雲』の主人公の一人・秋山真之や、最後の将軍・徳川慶喜の写真で人目を引いています。司馬遼太郎を覆す! というのが三橋の売りなのかもしれませんが、そもそも司馬の本は小説なわけですが。
 ちなみに、この手のバナーの一部は、この経営科学出版について調べてみました! という微妙なブログで見つけました。

 何とも皮肉な話ですが、それだけ手当たり次第に広告をばらまいており、それで元が取れているということなのでしょう。
 他の目についた広告も挙げておきます。
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三橋の現代経済本の宣伝バナー3種

 私が youtube で聞いてびっくりしたのは、こちらの本の宣伝だったのでしょう。「反日」などと敵をでっちあげて叩くのはこの手の連中の常套手段ですが、日本をよりダメにしているのは一体どっちなのでしょうか(もっとも「反日」の面子には竹中平蔵が入っているらしく、そこだけは同意できなくはないかもしれませんが)。
 どうもこれは、いくら国債を発行しても大丈夫、だからどんどんやれ、という最近流行り?の「MMT」なるものなのでしょうか。ごく普通に考えて、無限に借金できるなんてうまい話はあるわけないですし、借金を帳消しにしようとしてハイパーインフレを招くのがオチではないでしょうか。それで失われるのは結局国民の財産です。

 高橋是清が上のバナーに出てきますが、高橋が考えた赤字国債を日銀に引き受けさせて公共投資(主に軍事)をして世界恐慌から脱出するというのは、恐慌対策の非常手段であり、実際恐慌から脱した1935年ごろ以降は高橋は引き締めに転じます。しかし、軍拡で美味しい目を得ていた軍はこれを嫌がり、二・二六事件で高橋を暗殺してしまいます。二・二六事件自体は陸軍内部の派閥対立が原因ですが、どっちの派も予算削減は嫌がったわけでした。
 こうして、軍事予算を削ると殺されるという恐怖から、次の馬場鍈一蔵相は大規模な軍拡とそれを賄う増税・赤字国債発行財政を唱えて、財界を震撼させます。結果論としては、恐慌から日本を救った髙橋のカンフル注射は、やがて麻薬と変わり、日中戦争から太平洋戦争に至る日本の戦争を財政的に支える手段と化してしまいます。
 劇薬は使い方を間違えると身を亡ぼすのです。そして敗戦後にハイパーインフレがやってきます。

 私もいちおう、経済史の教員をやっているので、三橋なんかじゃなくて、まともな経済史の本を以下に紹介しておきます。世界経済史と日本経済誌からそれぞれ一冊、まあ私の授業のネタ本ですが。前にも紹介した気がしますが、小野塚知二『経済史』と、武田晴人『日本経済史』です。
 
 この問題の経営科学出版なる出版社は、三橋を主要コンテンツとして売り出しているようですが(三橋も出資してるからダイレクト出版と別会社?)、もうひとつ重要なコンテンツが「断捨離」です。最近流行りの大掃除のすすめで、はまった人が家族のものを勝手に捨ててネットで炎上するあれですね。で、なんと「断捨離」は、それで本を売った人が商標登録していて、ダイレクト出版グループがそれをバックアップ(ケツ持ち)してるみたいなんですね。同社のサイトにこんなページがあります。
 「断捨離」も、それ自体が悪いこととは限らないでしょう。しかし、こんな怪しい連中が後ろについているとなると、どうしてもこれを讃える気にはなれません。自らを見直して不要なものを整理するのはいいことでしょうが、自分の(いい思い出の少ない)過去を投げ捨てて生まれ変わるのだ! となると、自己啓発というか、新興宗教のイニシエーションじみてきます。それはもしかすると、自国の反省すべき歴史を投げ捨てて省みない、無責任な歴史修正主義と通じるものかもしれません。

 最後に、つくづく youtube というものの恐ろしさを感じます。もともと youtube の「歴史解説」と称する動画には、不正確どころか差別的な歴史修正主義がまかり通っていたのですが、それが広告にまで進出してきているのです。子供に悪影響を与える危険性では、もしかすると XVIDEOS なんぞよりよっぽど危ないかもしれません。私も一児の父となり、子供をどうネットに触れさせるかは、頭の痛い問題となっています。
 しかし、子供が騙されるならともかく、いい年した大人が、こんなケシカラン商法に騙されるのは、恥ずかしいことだと、最後に念押ししておきます。

追記:この経営科学出版の広告、新作が目につきました。大河ドラマ便乗。どこまで節操がないのか。
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by bokukoui | 2021-03-31 23:59 | 歴史雑談 | Comments(1)

Commented by K at 2021-07-20 17:23 x
この記事の広告にもそれっぽい広告があって笑いそうになってしまいました。YahooとGoogleのサービス?に広告を出しているようなので、それでネットの至るところで見られるのでしょうか。
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