極私的オタク論その1・ネコはオタクに鍛えられたのか
「オタク」が鍛え上げた企業が今年夏にも株式を公開する。三十二の専門誌を出版するネコ・パブリッシング(東京・目黒)。自動車、鉄道関係を強みとし、愛車と楽しく過ごすためのガレージ作りに関する情報だけを載せる「ガレージライフ」なる雑誌も年間四回、発行している。そうなんでしょうかね。うーん。野村総研の研究についてはこの本を読めばいいらしいのですが・・・
(中略)
昨年初めに創刊した旧国鉄列車のファンに向けた「国鉄時代」も予想の二倍の売れ行きを記録した。最新号には政局で多忙なはずの民主党代表、前原誠司(43)も寸暇を惜しんで書いたエッセーを寄せている。
社長の笹本健次(56)は言う。「本当に好きなものへの支出は簡単には減らさない。一億総オタク化が個人消費を底堅くする」
野村総合研究所の試算では、好きな対象に可能な限りのお金や時間をつぎ込み、オタク特有の収集癖や自己顕示欲を持つ消費者はマンガ、アニメ、鉄道など十二分野で百七十二万人。そこまではいかない軽度の人も含めると、約六百五十万人、市場規模は一兆四千億円に達するという。物好きの道楽というには、無視できないほどの規模なのだ。
(中略・海洋堂や「オタバ」、ガンプラ組立屋、ブロッコリーなど登場)
野村総合研究所主任コンサルタントの守岡太郎(56)は「オタク消費者の中からカリスマ的なリーダーが登場し、これに一般消費者が賛同するようになれば、消費者主導の市場ができるようになるかもしれない」と話す。
そこにあるのは、供給者が商品を提供して市場を作り出すのとは違うメカニズムだ。「現代の目利き」が作って鍛える市場は、並外れたこだわりゆえに強じんになる。
他の業界の事は分かりませんが、こと鉄道に関していうと違和感がありまして。鉄道趣味の場合、趣味の対象とする鉄道は、輸送という社会的手段を果たすことを使命としています(私企業なら利潤ですが)。鉄道趣味者は、彼らの趣味対象である鉄道企業が想定している主たる顧客ではありません。さてその場合、趣味の「市場」とは一体なんなんでしょう?
もっと分かりやすく言いますと。
コミケ三日目の有明に戦術核を打ち込めば、美少女ゲームメーカーの過半は倒産するでしょう。ワンフェス開催時にバンカーバスターを叩き込めば、海洋堂も傾くかもしれません。しかし、鉄道マニアを鏖殺しても、鉄道会社の業績に特段の変動が出るとは思われません。軍艦マニアや軍用機オタク、戦車愛好家を大量虐殺しても、軍隊も戦争もなくなりゃしません。趣味の対象と趣味の「市場」が分離している世界と、分離度の低い業界とを同じように論じてしまうことに、違和感が残ってしまうのです。
話をややこしくしているのは、前者のような趣味と後者のような趣味を兼業している人間が少なくなく、彼らの外見や行動パターンが類似していることなのだろうと思います。(例:当ブログの筆者)
このことは、実は十年以上前の中学生時代からつらつらと考えていたことなので、折を見て書き続けていきたいと思いますが、どうも風邪を引いたらしく頭と喉が痛いので今宵はここまで。おやすみなさい。
言ってしまえば、オタク市場は確かに高額かもしれないが作り手と買い手が近く、狭い市場で循環している点、また、オタクは「他のことに使う金を趣味に回している」という点。この2点を総合すれば「広く浅く循環するべきものを狭く深く循環させている」オタクは経済にとってマイナス以外の何者でもないんじゃいないかと思われるのですがどうでしょう。
今回の場合も「萌え銘柄」だの「ヲタ会社」だのの株を売り抜けるために言っているだけではないかと私は思っています。
「ブロッコリー」「アエリア」「ガンホー」「マッグガーデン(はちょっと違うかな?)」などの株価の推移を見るにつけ、寒々しい思いを新たにしています。
私の中では、BRICsとオタク市場は同じくらい如何わしい話だと思っていますが世間ではそうでもないのでしょうか。