乾パンの美点
先月の駒場祭の折、ラーゲリ緒方氏の肝煎りにて自衛隊の方に展示にご協力いただき、その際に携行口糧の類をいわば「食べる展示」としてご提供いただきました。で、その際に余った乾パンをふた袋ほど貰ってきたのでした。気前いいな自衛隊、と思って乾パンの袋を良く見たら
「品質保持期限 2006・3」
・・・期限切れでした。
とはいえ、実質上のところ何も問題はなかったので、ありがたく戴きました。結構量があると思っていましたが、一月摘んでいたら流石になくなってしまいました。この味、結構好きなのです。
乾パンは元々日本陸軍が携行口糧として開発したものだとかいいますが、その開発の中心人物の一人が川島四郎氏であったそうです。と、むかし川島氏の書いた本を読んで知りました。サトウサンペイとの対談本だったっけかな?(親が誰かから借りたらしい)その中に結構乾パンの話も出ていて面白かったです。乾パンに胡麻が入っているのは川島氏のアイディアらしいとか、味付けは何日もそればかり食べて作戦することを考えて薄味にしたとか、そんなことが書いてあって感心した覚えがあります。
で、ここ一月乾パンをかじっていて、乾パンの美点にもうひとつ気がつきました。今クレフェルトの『補給戦』を用事の行き帰りに読んでいて、そこに西洋の携行口糧=ビスケットが登場します。物の本によるとこのビスケット、保存性重視で無茶苦茶堅く焼き固めてあったので、叩いて砕いたり水に浸けたりしないと、とても食えたものではなかったとか。そういえばクラッカーの類も、そればかり食べると口の中がモソモソして不快な感じがします。チーズなぞのっけてブドウ酒と、というのなら話はまったく変わりますけど。
しかし、乾パンって水なしでそのまま食べても結構食べられるものなんですね。これには感心しました。保存できるように水分は充分少なくしてあるはずなのですが、不思議と水なしでも幾つも食べられます。同じことをクラッカーでやったらとても我慢ならないでしょう。まさしく戦場向き。
いやあ日本陸軍も時にはなかなか気の効いたものを開発したなあ、と思いましたが、しかしいくら乾パンの出来が良くても、前線まで届けられなかったら意味はないですね。
最後に、川島博士の本に書いてあったトリビアを思い出したので一筆。
乾パンなんかは水分が極めて少ない食品のように思われますが、いろいろある食品の中でもっとも水分の含有率が低いのはチョコレートなのだそうです(水分1%)。とろけるので一見水気を含んでいるような気がしますが、あれは油脂分とかなのでしょうね。
なるほど、だから乾パンと一緒に入れてある甘味は金平糖であってチョコレートじゃないのか?
私の高校時代にはA地連A事務所のKさんによく3年落ちの缶詰を食わされたものです。
それを思えば戦史研の企画は恵まれていたのではないでしょうか。
まあ「乾パンだけは賞味期限を気にしたほうがいい」と駒場祭中に教わった気もしますが。
それにしても兵士は節操なく金平糖から食べてしまうから困る。
確かにそうですね。
賞味期限でなくて「品質保持期限」なところが軍隊的で良かったですが、実質は賞味期限と同じなのでしょうか。しかし乾パンには如何なる問題が・・・?
>ラーゲリ緒方氏
「糧食は演習等で大量に余る」のですか、ふーむ。これはもしかして自衛隊も禁断の必殺技・現地調達をやっているから携行口糧は余ってしまうわなんだくぁwせdrftgyふじこlp;