『Sweet Sweet Sister』復刊
大変結構なことと思いますが、正直びっくりしました。
何でも、『Sweet Sweet Sister』の著者のJ・さいろー氏の新作『クラスメイト』が出るので、それに合わせて復刊、というか正確には再版される由。
しかしこの手の小説で、2001年10月初版のものが5年半も経って再版されるというのは、全く以ってかなり珍しい事態なのではないかと思います。むしろ別な出版社から復刊という方が、まだありそうな気がします。
既に持っている身として正直に言えば、別な出版社から装いも新たに復刊だったらもう一冊買い直しても良いけれど、誤植訂正程度では・・・。
驚きといえば、さいろー氏の新作がコアノベルズNo.002となっていることに驚きました。なんとなればこのレーベルの前作がほかならぬ『Sweet Sweet Sister』なわけで、つまりこのレーベルは第1作が出てから5年半もほったらかしだったわけです。てっきり消えたとばかり思っていました。
コアマガジンには前科があって、『Sweet Sweet Sister』発行を遡ること一年余前、2000年7月に「HOT MILK NOVELS」と銘打ったレーベルを出し、第一作として雑破業『だいすき!』上下巻を出したものの、小生が知る限りでは後に続きませんでした。確かその後、雑破氏はKSSへと移られたんでしたっけ。
そんなことがあってから一年ちょっと後に『Sweet Sweet Sister』が出されて、本作自体は古書価格の高騰に示されるように評価が高かったのではありますが、レーベルはやっぱり後に続かなかったのを見て、やはりこういう小説を売るのは難しいのかなと思ったのでした。それが復活というので驚いた次第です。いや、単に新しいレーベルのロゴとかをデザインするのが面倒だっただけなのかもしれませんが。
とまれ、こうしてコアノベルズはJ・さいろー氏専用レーベル? として甦ったわけで、小生としても新作は購入の予定です。今度は小説の作者は同じでも絵の傾向がだいぶ変っていますが、それが読者にどのような印象を与えるのか、その点に興味が湧きます。(※追記:買った時の話はここ)
この手の小説は読者を興奮させるように持って行こうとするのが普通なのではないかと思いますが、『Sweet Sweet Sister』はむしろ読者を妙に冷静にさせるような、不思議な感覚をもたらします。本書はエロ小説なのだからそういった描写は多いわけで、というか行為の質的な過激さや分量の多さは相当なものだと思うのですが、しかし読み終わるとあんまりエロかったという気がしなくて、厚いのに不思議と読み足りないような印象が残ります。
これが恐らく本作の古書価を高からしめた理由ではないかと思いますが、それがどこまで挿絵によって影響されているのか、それは是非新作を読んで確かめてみたいところです。
にしても、そういえば葦原瑞穂(高坂麻衣)の『ファーレンの秘宝』も復刊されてたし、この世界もそれなりの蓄積が生まれて、J・さいろー氏はいうなれば雑破氏の後を襲う存在にあるのでしょうか。いや、そもそもそういう見方自体正しいのかな? そろそろ歴史や系譜を振り返ってみてもいいのかもしれません。