医療現場における度量衡の基準について
そんなこんなで病院に付き添い、松葉杖を借用したりといろいろやっております。
ところでその病院で、身長に合わせて松葉杖の調整をやってもらったのですが、その時に松葉杖を見てふとあることに気がつきました。

この松葉杖は、留め金の位置を変えることで身長に合わせて調整するようになっていますが、その身長の基準がフィートとインチになってます。この松葉杖の場合、最も低く調整すれば、4'6"=1372mmの人に合うようになっている、ということですね。この長さは京王電鉄の線路のゲージ(左右のレールの間隔)と同じなので、鉄道趣味者なら見た瞬間に頭の中でメートル法に換算できますが、医療現場の方もこのような換算能力を身につける必要があるのでしょうか。
ちなみにその場で看護士さんに「これは長さがフィートとインチで書いてありますが、アメリカ製なんでしょうか?」と尋ねましたが、事情は知らないとの由でした。変なこと聞いて済みません。

アメリカの医療費の高さは天文学的水準ですが、そのおかげで高い医療水準と人的サービスを得ているわけです(ただし十分な医療保険にも入れない貧乏人はその恩恵に浴せない)。救急車を呼べば数百万円、虫歯1本20万円、かたや新人勤務医でも年収3000万円の世界です。
ドイツに学んだ日々は遠くなりましたね。
総合的には、日本の(これまでの)形の方が、社会的便益は大きくなるなるような感もあります。
アメリカで医者の給料が高いのは、訴訟リスクも含まれているんでしょうね・・・結局保険屋と弁護士に持っていかれるだけだったり。

なお日本の国民皆保険制度は世界の中で最も優れた医療制度だと言われてますが、近年は診療報酬の抑制によって過小供給による医療の崩壊が進んでいるということは各所の医師ブログで慨嘆されているところです。

「小さな政府」というのを算定するのも早々一筋縄ではいきませんね。数字は注意して取り扱うようにしなければいけません。日本は家族での介護を「美徳」とするように、ある種公共サービスでも良い部分を私的な分野にとどめて置くような圧力が結構あるのではないかと思うことがあります。
奈良県の産科医のような、ある種過剰な医療への要求も問題になっていますね。スターリン没後のソ連を舞台にしたソルジェニーツィンの『ガン病棟』に似た話があったことを思い出して苦笑します。