(エロ)マンガと鉄道の話など~長月みそか篇(1)・地図に萌える
で、いつぞや加賀美ふみを/かがみふみを作品の感想など書きまして、一般誌に発表した作品の単行本の感想に「成年コミックの作品とある意味同じことを描いている」と書いたりしましたが、今日取り上げるのも同じ様な傾向の作品です。
というわけで今日のお題は、
長月みそか
『HR~ほーむ・るーむ~』
『あ でい いんざ らいふ』
ということで。前者が四コママンガ、後者は成年コミックで、出版は前者の方が後です。先日の件があったので、後者の書影の紹介は遠慮しておきます(苦笑・多分大丈夫な範囲だと思うけど)。
どちらの本も出てから結構時間が経ってますので、感想もネット上で幾つも見ることが出来ます。アマゾンでも感想が上がっていますね。柔らかな絵柄の魅力、派手なところはないけれど心に沁み込んでくるストーリー、いかにもありそうな中学生たちの姿、と魅力を並べていくと、四コマも成年コミックもほとんど同じ言葉で誉めることが出来てしまいそうです。その点が加賀美ふみを作品を彷彿とさせますね。成年コミックについては「エロさ」という独自のパラメータがありますが、言うなればあっさりまったりで、これはこれで作品の世界の一環として綺麗にはまっていて、読後感が爽やかです。
この二冊は、同じ中学校を舞台としているために、ますます両者の世界が渾然一体に感じられてしまうのかもしれません。実際、『HR』には『あ でい~』収録作品の登場人物が何人もゲストで登場します。もっともそうなると、『HR』に登場する男の子・北原くんが、好きな女の子の千夜ちゃんが雨でずぶぬれになって、ブラジャーが透けて見えてドギマギ、なんて微笑ましいお話(p.29)があったりするのですが、その一方で北原君の知り合いの大隈弥彦君は音子ちゃんと(以下自粛)なわけで、そう思って読み直すとなんとも可笑しいです。この二冊、単体でも充分楽しめる素晴らしい作品ですが、両方とも読むと楽しさが倍増以上になりますので、どっちかしか持ってない人はもう一方も買うと良いのではないかと思います。
とまあ、こんな感じの両書の感想はネット上で既にされている方がおられますし、小生も全く同感です(『あ でい~』については「ふーみんの部屋」さんの記事が同人誌も紹介していて詳しい。『HR』については以下のブログ・「全てが台無し―雑記帳―」さん・「マンガ一巻読破」さん・「朱家の隠れ家」さん・「美しい暦BLOG」さんなど)ので、以下は小生が思った、恐らくはあまり一般的でないであろうことを書いてみたいと思います。
先日のイベント「エロマンガ・スタディーズvol.1」に行った時に、エロマンガで読者は男でなくて女に感情移入をしているのではという話があったりして(獣姦モノの時・笑)、やはり漫画を読む時は感情移入というのが重要なのだろうと思うのですが、小生はあんまり感情移入というのが得手ではない読み手のように思われる(小説はだからほとんど読まない)ので、何か見方がちょっと異なっているのかもしれません。
長月みそか作品を面白いと思って読みつつも、その描かれた中学生生活に「懐かしさ」のような感情を抱くことはあまりないのです。自分が経験し得なかった人生に対する憧憬、のような感情が、こういった作品を読む場合に感興を生じせしめる主要な要因なのかもしれませんが、あんまりそのような意識がありません。登場人物に感情移入するというよりも、ある舞台における諸人物の関連性の方に関心が向かっているような感じがします。作品世界に入り込むのではなく、作品世界を見下ろすような感じ、なのでしょうか。どうも偉そうないい方で申し訳ないのですが。
何を言いたいのかといえば、
「『HR~ほーむ・るーむ~』で一番好きなのは、カバーをめくった裏表紙の地図です」
ということです。ちなみに『あ でい~』の方も、裏表紙の「川崎とうふ店」ポスター大好きです。
地図の一部を写真で紹介(スキャナがないのでお見苦しいのはいつもながらご勘弁を)。クリックするといくらか拡大します。
この地図をよく参照しながら作品本文を読むと、これも面白さひとしおです(お祭りの時「偶然」家の前を通りかかったのだと主張する北原君の行動の実態とか)。
さて、話はまだ途中なのですが(鉄道の話になっていない)、明日はバイトで早朝から出かけねばならぬので、程々にして続きはまた明日。