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筆不精者の雑彙

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(エロ)マンガと鉄道の話など~チャーリーにしなか篇

 以前書いた「(エロ)マンガと鉄道の話など~長月みそか篇」、(1)地図に萌える(2)政令指定都市の夢について、サークルの友人(大先輩と後輩)から反応を戴きまして、それ自体は大変嬉しかったのですが、ただこの二人が上掲記事を読んで「あの漫画の成田エクスプレスが走っている駅はどこだ」という議論を延々とし、あまつさえ大先輩氏=高尾、後輩氏(「某後輩氏」にあらず、こっちの人)=戸塚などという自説を開陳していたのには正直がっくりといたしました。
 つまり二人とも成田エクスプレスしか見ておらず、「中学生の女の子」という重要な手がかりを見落としていたわけで(地方都市から東京にやってきた中学生の女の子が、高尾で先帝陛下の陵墓に参拝しに来るというシチュエーションは極めて考えにくい)、要するに折角「中学生の女の子が鉄道マニアだという設定の漫画」を紹介したのに鉄道しか見ない、そこら辺の(一部)鉄道趣味者の視野の狭さを嘆いたわけであります。
 さてこそ昨日紹介した本のような、鉄道と文化を架橋する研究が求められる(しかし緒に就いたばかりでまだ手探り)わけであります。
 ・・・つーか、人のブログ見てそんな議論するよりも買ってください。このブログはアフィリエイトもしてませんので。

 というわけで人様のことをあげつらうほど小生の視野が広いというわけでもないだろうといえばそれまでですが、このところ同人誌マンガの(性的)表現についてのシンポジウムに行ったレポを書いたり、或いはアメリカの鉄道博物館の紹介をしたりしておりましたので、この両方をくっつけたネタを再度、と思い立って、表題の企画の第2弾を試みます。

 今回のお題は、

チャーリーにしなか『出発シンコー』(少年画報社)

 でございます。正式な表題は末尾にハートマークがつくようですが、出せないのでご諒承下さい。ついでに、『出発シンコー!』だと弓月光先生の漫画になるそうです。

 で、本作の内容は、新米車掌の祐天寺信子(通称シンコ)が一人前の車掌となるべく奮闘・・・する途中で各話必ずHシーンが入ってる、そういう漫画です。
 作者のチャーリーにしなか氏は元鉄道員だそうで(「日本一のターミナル駅」に勤務されていた由ですが、だとするとJRの新宿とか東京とかでしょうか?)、専門家の知識が生かされた作品であります。

 こないだの「同人誌と表現を考えるシンポジウム」に関する感想の中で修正について個人的雑感を述べましたが、この漫画は「修正」的な形式的規準を遵守することで、成年コミックの指定を受けておりません。最初一読してなんでマークが入ってないんだろうかと思ったのですが、考えてみれば性器の直接描写がないからなんですね。なるほど、と思うと同時に少々バカバカしい気も致します。成年コミックマークをつけると販路が制約される、しかしその分単価を上げられるとか、何がしかその辺をうまくモデル化して「性器描写の利害得失」という経済的な法則をデッチ上げられないかと、どうでもいいことを考えました。
 で、本作については、エロマンガとしては性器描写云々以前に全体にコミカルな感じの作品だったので、あんまりエロかった感がありませんでした。とはいえ表情の描写などに工夫を凝らして、その手の描写にけっこう力を入れていたとは思います。

 まあそっち側の印象が薄かったのは、鉄道関係者の仕事の様子の描写とか、そっちのほうにもっぱら目が行っていたからなのかも、と思います。ことに人身事故の話なんかはかなり力を入れて書かれていて、本編のあとにおまけ実体験漫画までついていました。人身事故の遺体の描写がもっと丁寧だと良か・・・いえなんでもありません。
 で、それはそれでとても面白かったのですが、それが必ずしもHなところとうまく結びついているとは限らなかったので、全体としてちょっと印象が薄めになっちゃったのかな、とも思います。なかなか鉄道文化の展開も難しいですね。
 なお、チャーリーにしなか氏は、かなりのミリオタとも聞きますが、機械モノでも電車の描写はあんまり上手じゃない、というか多分ご関心がないのだと思います(苦笑)。毎回電車の絵は出てきますが、車体前面が食パン形だったり額縁形だったり、前照燈の類が丸型だったり角型だったり、前面に帯があったりなかったり、扉が3扉だったり4扉だったり、戸袋窓があったりなかったり、台車がペデスタル式?(にしては軸箱守が・・・)だったりモノリンク式?(にしてはリンクが細く、アルストム式の外側がないような感じ)だったり、一体何パターンあるのかと思います。うーん、ミリオタだという人でも必ずしも電車にはこだわらないんですね。勤めていたからかえってなのかな?
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by bokukoui | 2007-05-24 23:57 | 漫画 | Comments(0)