お気楽アメリカ紀行(4)~パームスプリングスのロープウェイ
(1)オレンジエンパイア鉄道博物館への道
(2)オレンジエンパイア鉄道博物館・その1
(3)オレンジエンパイア鉄道博物館・その2
(4)パームスプリングスのロープウェイ(この記事です)
(5)パットン将軍記念博物館
(6)フェニックスからセドナを経て
(7)フラッグスタッフからグランドキャニオンへ
(8)プレーンズ・オブ・フェイム(アリゾナ分館)I
(9)プレーンズ・オブ・フェイム(アリゾナ分館)II
(10)フーヴァーダムを経てラスヴェガスへ
(11)デス・ヴァレー国立公園
(12)ヴェニス これが本当のネオ・ヴェネツィア
オレンジエンパイア鉄道博物館を後にし、本日の宿泊地であるパームスプリングス Palm Springs へと向かいます。ここからはH氏がハンドルを握り、元来た道を北に少し戻って(その途中沿道に航空博物館らしきものを発見)、州際高速道路の10号線を東に向かいます。ペリスとの位置関係はこの地図参照。
道中は乾燥した土地が続き、沿道から見る山並みにも緑は碌に見られません。そんな山の谷間を高速道路は通っていますが、荒涼とした土地に相応しく(?)風が強いのか、風力発電の風車が集団で立っている土地も見られました。
手前はBNSFの支線か
ちなみに本日の記事の写真は拡大表示しません。資料的なものでもないので。
道中おおむね無事にパームスプリングス近傍にまで至ります。ここでインターステートを降りて、ロードサイドのショッピングモールというのか、要するにファーストフード的なレストランやスーパーの類が駐車場の周りに配置されている、日本でも近年増加した「ファスト風土(by三浦展)」的場所に立ち寄ります。暑い土地に備えて飲料水を仕入れ、機内から何も食べていないのでここで食事を、という算段。
アメリカに来たら、天下に名高きウォルマートに行ってみたいと思ったものでしたが、ここで目に付いたのは「オーガニック」と看板に掲げたこじんまりとしたスーパーでした。日本で言えばマザーズみたいなもんでしょうかね。もっとも後ですぐ近所にウォルマートがあったことに気がついたのですが。
食事は安直にマクドナルド。ビッグマックだのクォーターパウンダーだのに恐れをなしてチーズバーガーのセットを注文するも、実はそれはチーズバーガーが2個デフォルトでついてくるのでした。嗚呼肥満之国亜米利加。
宿は Embassy Suites という、H氏曰く「高級モーテル」という定義矛盾のようなところです。宿の位置を正確に記した地図を持ってこなかったためラ・キンタの街をだいぶうろうろする羽目になりますが、遂に小学校の隣で表通りから分かりにくいところにあった宿を発見、チェックイン。でかい吹き抜けがあり、部屋も広くて快適です。但し宿代を安く上げるため、ベッドは二つで1名はソファー就寝でしたけど。
さて、サマータイムのおかげか、時間が遅くなっても周囲は明るく、折角なのでパームスプリングスの名物であるという Palm Springs Aerial Tramway に乗りに行くことにします。これはパームスプリングスを一望できる山の上に通じるロープウェイ(「トラムウェイ」とあるので電車みたいな感じがしますが、そして日本語版ウィキペディアも「ケーブルカー」と書いてますが、ロープウェイです)で、しかも山頂のレストランの夕食付き往復切符なるものがあるそうです。これで観光と食事と両方済ませようと出かけます。
今度は小生がハンドルを握ります。車がでかいので車線をいつもはみだしそうな感に襲われますが、結局この旅行中の印象では、概してアメリカは道が広くてマナーもよく運転しやすかったですね。右に左に車線変更して暴走するDQNはロサンゼルス市内のハイウェイで1、2台見たくらいでした。車社会のいい面なのでしょう。ただ携帯電話しながら運転してる人は結構多かったような・・・。
30分ほど西に戻って、ロープウェイ乗り場に繋がる急な山道を登ります。山道といってもちゃんとセンターラインがあるので運転は頗る容易。日本の山道と違って、ほとんど樹木のない乾いた山肌を、アメ車のエンジンを唸らせて登ります。
かなり登ったところにロープウェイ乗り場があって、そこで往復の切符代と夕食の一緒になったチケットを購います。34ドル也。切符売りのおばちゃんは我々に日本語の案内をくれました。日本人観光客も来ると見えます。もっとも最初台湾人かと聞かれたので、台湾人はもっと多いのかもしれません。
このロープウェイは「回転式」だそうで、360度の眺望が楽しめるのが売りだそうです。この手のものでは世界最大だとか。最初ゴンドラが丸ごと回転するのかと思いましたがそうではなく、床だけが回転するというものでした。
このロープウェイは標高約800メートルの麓の駅から、約2600メートルの山頂まで登るという大掛かりなものです。で、感心したのが、このロープウェイの速力がかなりのものだということです。アメリカのPCCカーの加速は凄かったといいますが、このロープウェイも日本のそれよりかなり気合の入った飛ばしぶりでした。日本が遅いというのが正確なのかもしれませんが。ゴンドラがケーブルを支柱が支えている箇所を通り過ぎる時、一瞬ふわっと浮かぶ感覚がして、ジェットコースターみたいです。なかなか爽快。
展望は自慢するだけあって素晴らしいものです。興味深いのが、標高が上がるにつれ植生が豊かになっていくということ。麓の駅では山肌は碌に何も生えていないのに、次第に草や潅木が山肌を覆うようになり、山頂駅では大きな松の木が出迎えてくれます。日本の山とは逆ですね。松の木もアメリカンサイズで、まつぼっくりを拾ってみたら人の顔ほどもありました。
ちょうど夕暮れの時刻に我々はロープウェイに乗りましたので、夕日に照らされた風景を満喫し、山頂の駅に附属した展示施設など一通り見て廻ります。そして日も暮れたところでレストランへ。ビュッフェみたいなスタイルで、トレーを持っていくと店のあんちゃんが色々盛り付けてくれます。要領が良く分かっていないので適当に頼んだら、なんか結構な量と種類になりました。
右の皿の内容は、鶏肉(かかってるソースがやけに甘い)、トラウト(塩辛い)、豆の煮たの(犯罪的に甘い)、コーン(まあ普通)でございます。アメリカの食事に対して事前に抱いていた偏見を実証する良い機会となってしまいましたが、我々は「もったいない精神」(笑)を発動して悉く平らげました。帰ろうかという段になって他の卓に残っている皿の状況を観察したところ、どこの卓も残飯がしこたまあり、我々の卓は例外的状況だということが判明しました。嗚呼大量消費大量廃棄之国亜米利加。
降りのロープウェイの最終は午後9時45分ということでしたが、我々が帰途乗ったのは確かその一本前、21時発のだったかと思います。15分ヘッドが基本のようですが、遅い時間は30分ヘッドになっていたような・・・ちょっと記憶が曖昧。
とまれ、すっかり暗くなった中を降りるロープウェイからの、パームスプリングスの夜景もまたひとしおでした。そして、空気が澄んでいるのか乾燥して湿気が少ないのか、星空もまた美しいものでした。こんな星空を長いこと見た覚えがありませんでした。
そんなわけで、このロープウェイはよっぽど高所恐怖症の人でない限りお勧めできます。ただ食事については自己責任でどうぞ。
夜道の運転もさほど難点はありませんでした。ただ、幾らロープウェイに向けて登ってくる車がもうないとはいえ、真っ暗でカーブだらけで急勾配の山道を50マイルですっ飛ばして人の車を抜いていくのは、些かびびりましたが。
以下、翌日のパットン将軍記念博物館篇に続きます。