空を飛べない101師団
昨日の記事でアメリカ第101空挺師団の名前をちょこっと出しましたが、今日は同じ番号でも今まで日の当たることの少なかった101師団に関する本が出たというお話。
それは日本軍の第101師団です。この師団は日中戦争勃発に当たって1937年に動員された予備兵からなる特設師団で、平均年齢の高い将兵に旧式の装備しかなく、しかし激戦の上海に投入されてしまいます。その後も各地を転戦しますが、1940年には復員して部隊は解散しました。「101」という師団番号は、東京の第1師団管区の予備兵で構成された師団だったためにつけられた番号です(そういえばアメリカの第101師団も、最初は各州から集められた予備兵部隊だったので、3桁番号になったんだとか)。
その第101師団の初代師団長、伊東政喜中将の陣中日記を復刻した本が、このたび出版されました。
鈴木淳/古川隆久/劉傑 編『第百一師団長日誌
伊東政喜中将の日中戦争』
中央公論新社
本書が日中戦争の様相を物語る大変貴重な資料であることは勿論で、これまであまり日の当たる存在ではなかった特設師団(更に、第101師団は太平洋戦争前に解散しているし、上海で戦っても南京には行っていない)についてこのような詳細な史料が公開される意義は大きいと思います。
小生はたまたまある先生のご厚意で今手元に現物があるのですが、まだちょこっとめくってみただけです。しかし本書は史料そのものの価値もさることながら、極めて懇切丁寧な解説が付されており(歴史事項の解説や、日記本文の記述に関して他の史料の情報、中国側の状況についてなど)、写真も収められ、また赤と青の鉛筆も使って書かれている日記中の図をモノクロ印刷で色が分かるような工夫がされているなど、読者がこの史料の意味を理解するための努力が最大限に払われています。そして何より、索引まで含めて600ページに達する大冊であるにもかかわらず、本体価格4200円というのは出血大サーヴィスものとしか言いようがありません。版元が大手にしてもこれは格安というべきでしょう。
日中戦争にご関心のある向きは是非。戦史研員は特に。

