ピストンリングと海老の天ぷら
というわけで、もし繋がったら何か書きます。メールやファイルの送信は相変わらず困難です。すみません。
(以下後刻加筆)
繋がったのでやくたいもない話。
このたびの地震で最も評判が下がったのは東京電力ですが、一方大いに名を上げたのは、その操業停止によってピストンリングなどの生産が止まり、全国の自動車メーカーも生産が停止したリケンであろうかと思います。幸い操業も再開したそうで。
で、この社名を聞いてあの戦前に名を馳せた理化学研究所の名を引き継ぐ会社がいまなお健在、どころかこれだけ重要な存在であり続けていることにいささかの感慨を催したのですが、小生しっちゃかめっちゃかの書架をひっくり返しているときに、自分が理化学研究所所長・大河内正敏の著書を一冊持っていたことに気がつきました。それで思ったことを若干。
といっても農村工業の本とかではなくて、中公文庫の『味覚』という薄っぺらい文庫本です。これは戦犯容疑でひっくくられた大河内が巣鴨の中で回顧したうまいものの話が中心ですが、単にうまいものの話ではなくて、今まで見捨てられていた食材を有効活用して日本の食生活を栄養豊かにし、そしていっそ食うなら旨く食うように美食家の知恵で工夫して、もって日本の再建にも役立てようという意図が込められています。巣鴨の中でも意気軒昂ですね。
食物について書いた本が好きで多少集めている小生ですが、本書はその中で結構好きな部類です。上の説明だけ読むとあんまり面白くなさそうですが、大河内正敏の食へのこだわりが政策論的な堅苦しさを払拭して面白く読めます。
食についての本の中で小生が一番好きな種村季弘『食物漫遊記』で、種村氏は「食については大食いをやったことのあるような人でなければ信用しない」ということを書いています。食にまつわる原始的欲求を無視したお上品なものは読んでつまらない、という趣旨だったかと思います。で、種村氏の視点から見ても大河内博士の本は合格ではないかと思われる逸話が、これは子母澤寛『味覚極楽』の中に載っていたのを思い出しました。
何でも大河内正敏は天ぷらが大好きで、ミツワ石鹸の社長の天ぷら会に招かれたときに、海老天を38匹食ったのだとか。ようやるな。
何が言いたいのかといえば、暑くなってきたので海老天つきの天ざるが食いたいと思ったと、それだけです。発端の話題からどこへやら。
益体もない話はおいてまた作業へ。
青梅にある小沢酒造と共に、歴史的価値と食が同時に楽しめます。
ご一緒に行けたら幸いです。
いつもお世話になっております。コメントありがとうございます。
歴史と味が一緒に楽しめるとは是非行ってみたいですね。地ビールもあるそうですが、ここはやはり格好つけて「天すい」で一杯、と洒落込みましょうか。
石川酒造のほうも、先々代の当主が在郷軍人会の会長をしながら、史学を研究していたので「石川酒造文書」という、」きわめて重要な資料を発行しています。