「マンガ論争勃発番外編-表現の自由と覚悟を問う」レポ(1)
昼間たかしプロデュース
○出席者
松浦大悟(参議院議員)
荻上チキ(評論家)
兼光ダニエル真(翻訳家/NGO-AMI代表)
永山薫(批評家)
増田俊樹(映画監督)
昼間たかし(ジャーナリスト)
以前小生は、永山薫氏プロデュースの「エロマンガ・スタディーズVol.1」というイベントに行って楽しい一時を過ごし、またその後「同人誌と表現を考えるシンポジウム」も聞きに行ったりしまして、カマヤン先生の愛読者としましてはこの方面の問題に一定の関心もあります。ここしばらく、諸般の事情でこういったイベントには行けなかったのですが、幸いここしばらくは調子がまずまずなので、今回行ってきました。
会場は座席が一通り埋まり、立ち見も若干いる状況でした。60~70人、あるいはもうちょっとだったでしょうか? 会場中央前くらいのほど良い位置を確保した小生、さて前のテーブル、とは舞台正面最前列の席なのですが、そこに座っている方にどうも見覚えが。
それはなんと、先月の革命的非モテ同盟・古澤書記長主催のお花見でお会いした、『若者を見殺しにする国』や「『丸山眞男』をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。」の著者・赤木智弘氏でした。ご挨拶申し上げます。先日ブログでこの花見から赤木氏について延々と書いた(これとこれ)後だったので内心びくびくものでしたが、氏は拙文を読んではおられなかったようです。残念な、しかしホッとしたような気も皆無だったわけではないところが・・・。
で、例の如く会場で採ったメモを元に、イベントで話された内容を以下に挙げていきます。但し、議論の展開に筆記が追いついておりませんので、内容総てを網羅している訳ではありませんし、またまとめの文責は小生、墨東公安委員会にあります。
○第1部
第1部のパネラーは松浦氏、ダニエル氏、永山氏、そして司会の昼間氏。昼間氏が他の方々を紹介します。松浦議員の紹介の時に「松浦先生、プリキュアが好きなんですよね?」と振って会場笑い。
ダニエル氏が熱いお茶を、永山氏が梅酒ロックを、あとのお二方がウーロン茶を注文し、イベントの始まり。まず最初に(というか第一部全般に)話をされたのはダニエル氏でした。
ダニエル氏
「自分は日本のアニメやマンガなどの翻訳などをしており、そしてNGO-AMIの代表をしている。主に表現規制に関して、クリエイターとしての仕事と密接に関わることから、取り組んでいる。だから政治的なことに過度にこだわるわけではない。しかし税制や著作権など考えるべきことは多く、昔の作家のように家に閉じこもって著作に専念し、あとのことは編集者任せ、というわけには、今は行かない。
制作者同士で情報を共有したい、という方向でやっている。AMIは表現規制を考える団体の一つであり、決してたった一つの中核ではない。そもそもAMIを巨大な団体、例えばアメリカのNRA(註:全米ライフル協会)や退職者団体のような団体にしたいとは考えていない。
表現に関しては、数としてはクリエイターより消費者の方がずっと多い。消費者の方の動きがあるならば共同したい」
昼間氏
「今回の児童ポルノ法の改定に関しては、アメリカの動きがあり、日本の政府や議員に働きかけている。その会合に参加した松浦氏からブリーフィングをお願いしたい」
松浦氏
「大変な集まりだった。そこで配られた資料での文言が凄く、児童ポルノについて
『諸悪の中の最大の悪』 という題名だった。最大の発信者はアメリカなんだから、自分のところで何とかしろと」
昼間氏
「今日は民族派右翼の方も参加されているので、あとでご意見を聞ければ」
松浦氏
「これには右も左もない」
昼間氏
「松浦氏が参加した集まりは、えらく費用のかかったイベントらしいが」
松浦氏
「すごい。配られたこの資料の紙を見て欲しい(と持ち上げる)。ものすごく良い質の紙。おまけに会場に行くと、席にはペンも飲み物も用意されていた。自民党や公明党の議員も多く参加していたが、また議員のことをえらく持ち上げる。気持ち悪いくらい」
ダニエル氏
「シーファー駐日米大使があっちこっちに出向き、党首や幹事長、官房長官などに会いに行ってる」
昼間氏
「この件に関しては日本ユニセフ協会の活発な動きも話題になっているが、自分と永山氏はその日本ユニセフ協会に取材に行った」
永山氏
「いやあ感動しました。善意に溢れた広報者が出てきて。アメリカでコミックスが規制されていると言うがその法律はどうなっているのか、といった質問をしたらどれも答えが『知りません』。普通なら『細部まではちょっと把握していないが・・・』云々などと言い逃れるところだが、こんな正直な人がいるのかと感動して帰ってきた」
昼間氏
「我々を広報に雇ってくれればもっと意地の悪い対応が出来るのに(笑)」
ダニエル氏
「アメリカの日本大使館の書記官にすごい書記官がいる。若く、善意に溢れ、自分の正義にまっすぐな。彼がいろいろ動き回っている」
昼間氏
「彼のことは自分もブログに書いた。では、アメリカについての話をダニエル氏に」
ダニエル氏
「結論から言うと、実在児童への規制は日本より狭い。偶像についても禁止しているが、その範囲も日本より狭い。しかも後者については最高裁での違憲判決など、合意がまだ出来ていない。
そもそも日本と猥褻観が違う。ポルノと猥褻は同じように扱われるが、違うものである。ポルノという言葉は法律の中にないが、猥褻は法律の中に取り入れられており、それは表現の自由の中に含まれない」
永山氏
「日本の規制範囲がアメリカより広いということはどれだけ認識されているのか。日本の児ポ法では18歳以下を規制するがアメリカはどうか」
ダニエル氏
「アメリカも一応18歳以下。ただ違うのは、出ている人が性的行為を行っているかどうかが問題なのであって、ヌードだけなら構わない。そこが日本と違う。そもそもアメリカの規制は労働法の延長線として出来、そのような行為に従事させることが妥当かということが問題とされた。出来た物の内容云々ではない」
昼間氏
「日本の児ポ法は援助交際の取締から来た」
ダニエル氏
「また、アメリカは陪審員制。だから猥褻かどうか決めるのはその地域の成人の人。アメリカのこういった規制も、元々は『お上が愚民どもを猥褻な表現から守ってやる』的な発想だったが、1973年のミラー(?)判決から、陪審、つまり民間が決めるようになった。だからアメリカのポルノは地域差がある。ニューヨークやロサンゼルスでは大丈夫でも、ユタやオクラホマだったらダメということはある。だからアメリカで、エロビデオを作るのはLA、エロ本はNYとなっている」
昼間氏
「ヨーロッパでも国ごとに違っている。そのことは国会では理解されているのか」
松浦氏
「そのような点から勉強会をしている。国会図書館の人を呼んで調べさせている。しかしこのことに詳しいわけではないので、翻訳がしょっちゅう間違っている。ダニエル氏に聞いた話と違うなあと思いながら聞いている。
今出ている『m9』という雑誌には、児ポ法改定見送りで安心、という話が載っているが・・・」(雑誌を掲げ、昼間氏が受け取る)
昼間氏
「あ、これ晋遊社の知ってるダメ編集者が作ってる。こりゃダメだ(笑)」
松浦氏
「だが、審議は始まったばかりである。これについて、AMIとも連絡して水面下でいろいろ動いている所である」
ダニエル氏
「AMIの活動を水面下でやっていることはない。ただ、声高にやることが必ずしも良いことばかりではない。そのことは理解して欲しい、隠蔽して守ろうとしているのではない。AMIは情報を出して、敷居の低い団体にしたいと思っている」
昼間氏
「今国会で気になっているのはネット規制だが、出る出るといって出ていない。一体どうなっているのか」
松浦氏
「出ないですねえ。今年1月から民主党も自民党もプロジェクトチーム作って検討を始め、進んでいると理解している。出会い系サイトに対する規制は既に全会一致で衆院を通っている。いろいろな思惑を持った勢力が動いており、アメリカ大使館もその一つ。アニメ・マンガを有害としている」
ダニエル氏
「アメリカ大使館のスコット・ハンセン二等書記官という人がネットにこのことについて書いている。これが善意に溢れて正義にまっすぐな例の人。彼が書いた英語の原文を調べると、アニメや漫画のことを『cartoon,comic』ではなく『anime,manga』と書いている。日本のを狙い撃ちしている」
※5.9.追記:アメリカ大使館のサイトにあるその原文はこちら
また、ハンセン書記官の執筆になるものとしては他にこちら
松浦氏
「以前は、児ポ法は青少年保護という観点から規制するとしていたが、最近は児童虐待の道具になるから、という理屈になっている。実際に児童ポルノを作るのは親が多いのだが、子供にそれを見せてこんな風にしたら楽しいよ、といって誘う危険性があるからだ、というもの」
ここで松浦氏は、流石元アナウンサーというのか、巧みに声色を変えて台詞を喋っておられたのですが、うまくネット上で再現できないのが残念です。
ダニエル氏
「子供を誘惑する道具になるから、というのであれば、飴や玩具もダメになってしまう。このことはアメリカの最高裁で否定されている。それが子供を誘惑する道具になる可能性があるから。というだけで規制は出来ない。アメリカ大使館の日本に対するロジックは、自国の最高裁に否定されている」
昼間氏
「大統領選挙で民主党が勝つと変わるのか」
ダニエル氏
「ひっくり返ります。そもそもシーファー大使は職業的な外交官ではなく、ブッシュの友達でテキサスの野球チームをやっていた仲間、ということでなっただけ。外交手腕があったわけではない。以前オーストラリア大使だった時、ブッシュの政策を批判した当時の野党に対し暴言を吐き、その後の選挙で政権交代が起こってオーストラリアに居づらくなって、そこで引退を申し出たが、ブッシュに慰留されて一番無難そうな日本大使になった」
永山氏
「日本馬鹿にされとるな」
ダニエル氏
「シーファーは結局、企業家でキリスト教的野球チーム経営(?)に成功したという人。11月の選挙後、シーファーは大使に残らない。アメリカの官僚制は政治任用の範囲が廣く徹底しているので、二等書記官クラスでも変わることがある。
問題のハンセン君は若い。2003年、JETプログラムにより高知で英語の先生をやっていた。ということはその時大学生か院生だった。更にその後の経歴で、タイの領事館にいたことが分かっており、どんなに早くても日本に来たのは2006年以降。
シーファーはこの問題についてあまり分かっていなさそうである。なので、部下の人が重要である」
松浦氏
「ハンセン君は先ほど言ったイベントに来ていた。この時シーファーは『この問題に個人的な関心がある』と言っていた。公的なものでは無いのではないか」
もしかすると、ハンセン書記官が「シーファー大使がこの問題に個人的な関心を持っている」と言った、ということだったかも知れません。メモの不備で済みません。
永山氏
「『シーファー発言』について、国会でその後何かあったか」
昼間氏(?)
「『シーファー発言』とは、シーファーが『日本はアメリカと並ぶ児童ポルノの二大消費国』と発言したこと。これについて国会で、その論拠はどういうものか、という質問が出たが、政府側参考人は『分からない』と言った。日本政府が無根拠なことを認めてしまった」
松浦氏
「特にはない。
日本側には、アメリカのFBIと共同捜査をしたいという野望があるから通そうとしているようである。日本の捜査機関は、日本からアメリカの児童ポルノサイトにアクセスしたというIPアドレスなどの提供は既に受けているが、しかし単純所持規定がないので取り締まりできないとしている」
ダニエル氏
「発信者を取り締まる方が先ではないか。アメリカが最大の発信国である」
松浦氏
「シーファーの出したペーパーに『アメリカが最大の発信国、しかし日本が最大の受信国』としている」
ダニエル氏
「ワンクリックおとり捜査が行われている。FBIがここに行けば児童ポルノがある、という情報を流し、そこをクリックしただけで、実際に入手したわけでもないのに、逮捕している。IPアドレスが分かったところで、それだけでクリックした人間を特定できるわけではない。無線LANに勝手に侵入する場合などもある。それでも逮捕した」
松浦氏
「そういう人のIPが登録されているとすれば、サイパンに行ったら逮捕されてしまうのかも」
ダニエル氏
「ヴァーチャル児童ポルノの禁止は、2002年にアメリカ最高裁で否決された。範囲が広すぎるという。そこで表現の自由の枠外の、猥褻を範囲にしようとした。
そうして出来た1466A規定は、単純所持を禁止した。他の猥褻物は単純所持を禁じてはいない。しかもそれを輸出した人も逮捕できる。つまりシーファーやハンセンは、日本のエロ漫画家を逮捕できる」
昼間氏
「実はもう、日本とアメリカはこの点で戦争状態にあるのではないか。大塚英志氏が『「戦時下」のおたく』という本を編集したが、まさに大塚氏は正しかったのか」
長くなりすぎて記事がうまくアップできないので、ここで切って続きは(2)へ。
簡単にできる時代に、必要の無い性器無修正映像を取り締っているが、憲法違反
すね!。
又、取り締った無修正性器映像(DVDが主だが)を自分達でオマンコ上映会と
称してか、仕事と称して只で見ているのだろう。
税金の無駄遣いも甚だしいよ!。
ソノクセ、国会図書館のおまんこ、オチンポ丸見え映像は取り締らないのだよ。
更には、国会図書館のロリコンポルノ写真集SATOMI(オマンコの割れ目丸見え)等の児童ポルノ本
も取り締らない・
国家予算、皆様の尊い血税が無駄です警察はリストラするべし。
追伸、東京都写真美術館は、ドイツのTACHEN社の1000NUDES
(日本では裏本)を閲覧させたとして平成9年8月頃警視庁目黒署に摘発されています。
当時は、密輸で海外の裏本を多数購入して希望者に閲覧させていたのです、信じられないかも
知れませんが、事実です。
今でも、裏本があるかも知れませんよ!。
うむ、恐るべし国会図書館の大罪。
えむ、犯罪東京都写真美術館は税金の無駄、即解体すべし。
今ソースを直ちに出すことは出来ませんが、国会図書館は児童ポルノ法に引っかかる蔵書の閲覧を停止していたはずです。
写真博物館の件は初耳ですが、それは写真美術館と警察との、「裏本」の定義が違ったものと察せられます。
一般には、学術目的で必要な場合は所持閲覧が認められるもののようです。