今更ながら『月刊COMICリュウ』9月号雑感
で、ふと思い出したのですが、先月「『月刊COMICリュウ』10ヶ月分まとめて感想」なんて記事を書いたあと、19日にナヲコ先生の単行本共々『月刊COMICリュウ』の9月号を買って読んだのに感想を書いていませんでしたね。折角カテゴリ作ったのにこれはいけません。そこで・・・と思ったのですが、その後少々考えた結果、カテゴリよりタグの方が記事一覧が出てくる分使い勝手がよいのではないかと考え、タグに切り替えることにしました。ついでに、という言い方もなんですが、「ナヲコ」先生のタグも作りました。ナヲコ先生の単行本も勿論読んだ以上は感想を書くべきなのですが、それはかえって非常に難しいことなので、いつか精神的余裕が出来たとき、ということで。
ところで先日友人に、「お前のブログは長すぎるから読む人が少ないんだ」と言われたので、その友人に学んで極力短く書くように、今回はやってみましょう。かえって難しいんですけど。
・ナヲコ「なずなのねいろ」
なずなの秘密がいよいよ明らかに・・・なるのは次号のようです。ブリキの太鼓ならぬ三味線、なんて想像が(三味線を自作した場合、皮は何が使いやすいでしょう? 近所の猫をアレするわけにはいかなさそうで)。
回想シーンでわずかに登場するなずなのお母さんの表情と台詞(の沈黙)が、印象に残りました。
・神楽坂淳/伊藤伸平「大正野球娘。」
初回巻頭カラー。初回ということで何か違う方向にはっちゃけていますが、次回はちゃんと野球するそうです(笑)。セーラー服は最初体操着的に導入されたようなので、セーラーと袴が混在しているのはなかなか宜しいことと思います。
・安永航一郎「青空にとおく酒浸り」
いつもにもまして濃いめ。徳間の雑誌で「崖の上の放尿(ホニョ) もらさなくてよかった」という小ネタも冴えてますが、やはりアレなおっさんキャラがこの作品の愉しみ。今回のメインゲストキャラである「国恥記念日」と大書したパンツをはいたおっさんも強烈。今回限りにするのは勿体ない。
・宮部みゆき/中平正彦「ドリームバスター」
『リュウ』を1年近く読み続けて、やっと本作の作品世界を少しは掴めるようになったかも。新展開で久しぶりのリエコ登場も、成長しているようで成長していない、人に期待されるということに舞い上がってしまう、そんなところに胸が痛みます。
・西川魯介「ヴンダーカンマー」
ますますシリアス路線に転換し、今回はコメディ要素なし。それはそれとして、カッセ少尉のかぶっている鉄兜はちょっと欲しい。あの石炭バケツ形ヘルメットに「安全+第一」と書いてあるのですが、緑十字のところが鉄十字(パテ十字)になっているのです。
・いけ「ねこむすめ道草日記」
男の子たちの可愛いらしさもまたよし。小生ショタのたしなみはありませんけど。
・あさりよしとお/鶴田謙二/たまきひさお/加藤直之「追悼野田昌宏」
SFにはとんと疎い小生ではありますが、野田氏のお名前は聞いたことがありました。SF売り場の「近辺」は結構うろうろしてましたから。パイオニアの方が74歳ということは、斯界も成熟したのだとも捉えられましょう。
ところで鶴田先生、『エマノン』の続きは如何相成ったのでしょうか?
・アサミ・マート「木造迷宮」
対抗心を燃やすヤイさんの表情が素晴らしいです。幼時のヤイさんの絵も二コマとけちらずに描かれるのを希望。
結局このような表情を引き立てるには、道具立てはありきたりであることがむしろ望ましいのかも知れません。しかしけん玉の資料を捜す前に、家屋に関する資料を・・・(まだ根に持ってる)
・魔夜峰央「クレプスキュール」
毎度思うのですが、笑うシーンとシリアスなシーンとの配分や構成が絶妙なんだなーと感心。ところで次回も掲載なのは嬉しいのですが、もしかして終わり? と心配の方が先に立ってしまいます。
・永井朋裕「うちんちゅ!」
宇宙人との異世界遭遇を織り込んだホームコメディ、と思っていましたが、実は男オタクの妄想をもっとも煮詰めたという点では本誌随一の危険なマンガかも知れません。
・坂木原レム「フルイドラット」
ミズキさんの飾らない「色気」と、アイドルの人工的な「かわいさ」との対比に感心。
・五十嵐浩一「REVIVE!」
秋葉原通り魔事件を早速作品中に取り込んでいます。7月19日発売の雑誌のマンガで間に合うものなんですね。
このマンガ、一話一話は結構面白いんですけど、連載としては話がどっちに向かっているのか時々分からなくなります。一話完結って訳じゃなさそうだし。
・たまきひさお「トランス・ヴィーナス」
別に何か特定の作品を指して言っているわけではないつもりですが、作者が一人疾走してしまっていて、読者は呆然と口を開けたままその走っていく様子を眺めているだけ、なんて漫画が折々ありませんか。長期連載を途中から読んだりしたときはやむを得ない面もありますが、初回から読んでも時としてあるのではないかと思います。
なんて話をしたのは本作がそうだと言いたいのではなく、全く逆で、一読即引っ張り込まれる、そのスピード感がたまらないと感じた次第。
ところで作者の方の名前に見覚えがあったのですが、やっとさっき園田健一『GUN SMITH CATS』のアシスタントだったと思い出しました。久しぶりにガンスミを引っ張り出して、あとがきコーナーの田巻氏の絵を見ると、ソノケンがこう注釈していました。
「彼は“雑誌ブレイカー”らしい」
・・・『リュウ』は大丈夫だよね?
・速水螺旋人「螺子の囁き」
今回のお題は「コングリーヴロケット」。ナポレオン戦争の頃イギリス軍が使っていたロケット兵器ですね。小生はどっちかというと「コングレーヴロケット」だと思ってました。
で、このロケットはまあそれなりに有名と思うのですが、今回のこのコラムの目玉はむしろ、コングリーヴロケットのモデルになったインドのマイソール王国のロケット。これは見たことがなかった。安定棒が竹だったんですね。竹の棒に黒色火薬を詰めた木筒をくっつけた、ロケット花火の親玉というわけ。
同じ時代の日本では、黒色火薬の扱い自体は慣れていたし、竹の工作もお手の物だったのに、こういうものは開発しませんでした。やはり平和が何より。
ところでこのロケット、運動エネルギーで対象を破壊するというより放火用だったんでしょうか。ウェリントンはロケット兵器を好まず、都市を焼き払うくらいにしか使えないが幸い使う機会がない、とか言ってたと何かで読んだ覚えが。といって推進薬と炸薬を別にするほど凝っていたのか、機会があれば調べてみよう。
※追記:炸薬の話ではないですが、ロケットの余談はこちら参照。
・読者返信用はがき
今月はちゃんと「螺子の囁き」になってました(笑)
さて、まだまだ触れたいことはあれど、やはり短く書くことは難しいなあということに気付いたもので、今月分はこの辺で。畏友の境地に達するのは、小生には難しそうです。
なお、来月号と同時に『とりから往復書簡』の単行本が出るそうで、これは買うかも。

炸薬も別に搭載されているはずですが、命中精度の点で都市しか狙えないんじゃないでしょうか?
海軍は必ず臼砲などの命中精度の高い兵器と組み合わせて使っていたらしいですし。


まあこの記事、ネタバレを避けたら、雑誌読んでない人には意味不明になっちまいましたね。
>ρ氏
お久し振りでございます。彼の地で無事にお過ごしでしょうか。
情報ありがとうございます。ウェリントンがロケットを嫌った理由も、確か命中精度が悪かったためだったそうですね。当時の他の軍事技術の体系との組み合わせ方が難しかったのでしょうか。機会があればもっと知りたいところです。
>無名さま
日本の武士の報酬体系では、弾幕射撃や数勝負のロケット砲は受け入れられなかったでしょうね・・・とは久保田正志氏の論文の受け売り。
>ラーゲリ氏
センスの良い読者諸氏に恵まれて光栄です。