簡単に『月刊COMICリュウ』11月号雑感
今回は新創刊2周年特集(小生が本誌を買い始めて1年ともなるわけですが)、ということで付録がいろいろついているのですが、そちらは我が琴線に触れるところなく・・・ま、本誌について以下簡単に。
・ナヲコ「なずなのねいろ」
なずな回想編も大詰めでしょうか。なずなの、父から引き継いだ天性の音に心揺れる花梨さん。そしてようやく、なずなが叔父の眞さんに、密かに三味線の手ほどきをしていたことの繋がりが見えてきました。花梨さんと眞さんの繋がりはいよいよ妖しさを増してきましたが・・・
幼少なずなが三味線を弾いているシーンで、三味線の「カンカン」という音の書き文字が、マジックで大胆に書いてあって、しかもわざと(でしょう)文字を塗り残してあるあたり、なずなの荒削りな音が伝わってくる感じです。
・速水螺旋人「螺子の囁き」
今回もロシアメカ、アントノフAn-2。戦後の1947年初飛行の単発複葉機、万能の軽輸送機です。ポーランドで1991年まで作っていたとは・・・地上を見やすくするのか、ちょっと変わった風防が可愛いです。
・神楽坂淳/伊藤伸平「大正野球娘。」
大正なのに扉の絵がT-34/85・・・。いきなり後日談状態で、おまけにペン入れ怪しいページもあったり、そして途中で終わっているような・・・。女の子の絵はラフでも、T-34はきちんとペン入れしてるのはどういうことか。
いきなり心配になってきました。
・大塚英志/ひらりん「三つ目の夢二」
エプロン+和服の女給さんに目が奪われた読者は決して小生のみではないはず(ホテルの従業員なら「女中」でいい気もしますが)。それはそれとして、震災の中で夢二は幻想モードに入り込んでアレなシーンになっております。
・石黒正数「響子と父さん」
いよいよ石黒作品再登場。微妙な距離感を堪能。とはいえ現状では「ネムルバカ」ほど印象が強くないのですが、シリーズを今後重ねて魅力も深まることを期待します。
・ちみもりお/ワタリユウ「冥王計画ゼオライマーΩ」
新連載。何でも昔のロボットアニメの復活というか続編みたいなものらしいのですが、ロボット系を受け付けない小生としては如何とも評価しがたいところです。とりあえず女の子はとても可愛らしく、初回から触手まがいに絡め取られるなど、見所も。
で、何で受け付けないのに感想を書いているのかといえば、ナヲコ先生の『からだのきもち』のあとがきで、編集が「ゼオライマーも出したし」、だからナヲコ先生のエロ作品集も出しましょう、という文脈で出てきたので気になったので・・・正直関連は分からん(笑)
・安彦良和「『麗島夢譚』事始」
エッセイ漫画としても面白かったのですが、次回から連載再開らしく、喜ばしいことです。それにしても、博多から筑肥線経由で平戸に行ったら、そりゃ時間かかりますわな。
・たまきひさお「トランス・ヴィーナス」
祝隔月連載決定(それにしても、月刊連載の漫画と同じくらい、隔月や不定期の連載があるのではないかと・・・)。一気に読まされるパワーの点では、本誌でも随一の作品と思います。「純愛も 行き着く先は肉欲なのよ」ってなもんで。
・アサミ・マート「木造迷宮」
扉絵を見た瞬間、ヤイさんの幼少時代の話かと一瞬思いました(笑)。駄菓子屋のバアさんがいい味を出しています。
・安永航一郎「青空にとおく酒浸り」
今回は本来のストーリーに戻って一安心。「ノーパナイザー」ってのは、目にも止まらぬ速さで女性のぱんつ(下着の方)を脱がす奇怪な技を使う輩、という意味だと思っていたら、ちゃんと本来の? 意味があったんですね。
・魔夜峰央「黄昏マンガ家ミーちゃんのSFですよ」
「クレプスキュール」が一応終わったので、今度はエッセイ漫画。『リュウ』編集部はSF好きが多いんでしょうか。コマ割りがひたすら横にだけ区切っています。
・永井朋裕「うちゅんちゅ!」
幼稚園ネタが引き続き。ある意味『LO』よりいかれてます。
・つばな「第七女子会彷徨」
今回も二本立て。もしかするとこれはすごい作品なのかもしれない、と思うようになりました。今回は特に、死んだ人の意識をデータ化して「天国」を作ってしまう話が特に。
・天蓬元帥「ちょいあ!」
『電撃大王』だとか『まんがタイムきらら』だとかの掲載でも違和感のない作品だけに、個人的にはあまり注目しておらず、殊にガスマスクをいつも装着していたガス子がガスマスクを取ってただの美少女になってしまったのは遺憾だと思っていましたが、今回久々にガスマスク姿が見られたのは良し。あとどうでもいいお国自慢ネタもよかったのではと。岡山といえばママカリもいいですが、大手饅頭は外せない。
駆け足で見てきましたが、今回も基本的には満足の内容。次回はやっとこさ『さすらいエマノン』掲載ということで期待大です。
それにしても、今号の『ゼオライマー』だとか、付録の出淵裕『機神幻想ルーンマスカー』だとか、大暮維人『BURN-UP EXCESS&W』だとか、ひとむかし或いはそれ以上前の漫画を、復刊させたり続編を出したり、そういうのが『リュウ』周りは多い気がします。そのお陰でナヲコ先生の作品も、未収録作品が単行本化されたので文句のないところですが、市場の飽和というか成熟がこういった方針を採らせているのでしょうか。
で、小生がふと思ったのが、
ではないかと。実際、ナヲコ先生の単行本未収録作品集は復刊ドットコムで要望されて、結構票集まってましたからね。
或いはむしろ逆に捉えるべきかもしれません。復刊交渉開始の目安である100票まで行かなくても、この分ならいけそう、というのを漫画を扱っている出版社が先に目をつけて交渉すれば、復刊ドットコムよりも或いは手早くやりやすいかもしれない、そんなことをふと思いました。フリーライダー的やり方ですけど、本気で出すならノウハウのある方が、漫画雑誌を定期刊行しレーベルも持ってる方が、有利でしょう。なんだか野党のよい政策を丸呑みして、実行したら自分の手柄面する自民党みたいですが。

あぁもう、あぁもう・・・(言葉を失う)
むろん、かっての連載当時は掲載誌から察せられるように、完全にエロマンガとして読んでおりました。
なお、新連載の作画担当・ワタリユウ氏の描く美少女(と触手的な何か)は、一読して是非そっち方面でもご活躍を、と思わずにはいられませんでした。

「あれ、この人レモンピープルで描いてた人だよね」とソラで思い出した自分の記憶が恐ろしいです。おかしいなあ、bokukouiさんとは同期のはずなのに……
というか、付録がルーンマスカーってマジですか。
かれこれ15年ばかし連載が中断されてる間に
掲載誌(ドラゴンマガジン)もすっかり様変わりして、
もう生きてる間に続きは読めないと思ってたんですが。
おかしいですねえ(笑)連載開始は1983年・・・『レモンピープル』廃刊はちょうど十年前らしいですね。
『ルーンマスカー』付録別冊、扱いに困っているので(挟んだまま本誌を読むのは大変だし、別に置いたらきっと亡くす)良かったら差し上げます。