京急・弘明寺駅の「青い光」による投身自殺対策
詳細は以下の読売新聞記事参照。
「青い光」で飛び込み防げ!京急・弘明寺駅、設置後ゼロに
新聞記事は消える恐れが高いので、念のためウェブ魚拓も取っておきました。
記事の主要な内容は以下に引用しておきます。
防犯効果があるとして街路灯に用いられるようになった「青色照明」を、鉄道会社が踏切や駅ホームに、飛び込み自殺防止の目的で導入する動きが広まっている。弘明寺駅は踏切(品川方)とトンネル(浦賀方)とに挟まれた駅で、踏切については以前ちょっと思い出を書いたことがありましたが、そういえば当時通勤していた父が「通勤していた期間中、何人かはねられた」とか言ってましたっけ。その当時の弘明寺駅は橋上駅舎ではなかったので、遮断機強行突破を図る輩が今よりも多かったろうと思いますが、これは自殺ではなくて事故ですね。あまり自殺の話を聞いた覚えはありませんでした。
実際に自殺防止に役立つかどうかは専門家の間でも意見が分かれているが、すでに青色照明を設置している鉄道会社は「それまで毎年起きていた自殺がゼロになった」などと効果に手応えを感じている。
京浜急行は今年2月、横浜市南区の弘明寺駅で、ホームの端の照明8基を青色に変えた。同駅では前月の1月、ホーム端の人けのない場所で2日続けて夜間に飛び込み自殺があった。同駅は、未遂も含め、毎年2、3件の飛び込み自殺が起きており、「自殺を1件でも減らすため、できることはなんでもしてみようと、わらにもすがる思いで始めた」(同社鉄道本部安全対策担当)という。
同社によると、同駅では青色照明設置後、飛び込みは起きていない。
JR東海も今年8月以降、愛知や岐阜、三重県で、東海道線や中央線などの踏切計10か所に試験的に青色照明を設置し、効果を探っている。JR東日本やJR九州でも、導入に向けた検討を始めている。
鉄道会社の中で青色照明をいち早く導入したのはJR西日本だ。車が強引に踏切を渡るケースが後を絶たず、頭を悩ませていた同社は、2006年12月以降、大阪府と和歌山県を結ぶ阪和線などの踏切計38か所に青色照明を設置。その結果、夜間の車の踏切事故がゼロになり、飛び込み自殺もなくなったという。(以下略)
記事(もしくは魚拓)には駅の写真がありますのでそれを見ますと、なにぶん夜でないと照明の効果が分かりませんから、画面がくらいので状況がよく分からないのですが、青い照明はトンネルの側に設けられているようです。このトンネルはそう長いものではなく、昼間ならば向こう側が透けて見える程度だったかと思いますが、夜ともなれば暗さをより一層かき立て、自殺者をその闇の中に誘い込む機能を持っていたのかも知れませんね。
もっともそれならば、ホームの照明の色を変えるのではなく、トンネルを明るくしても同じような効果があったかも知れませんが。
或いは、中央線なんかにはかなりありそうなことなのですが、一度「飛び込み名所」となりますと、また次も・・・という現象もあったのかも知れません。こうなってしまうと、なかなか手の打ちようが難しいですね。
新聞記事の末尾で「慶応大の鈴木恒男教授(色彩心理学)」が「青色を見ると落ち着くという実験データはあるが、珍しい色だから人目につくため、犯罪や自殺を避けようという意識が働くことも考えられる。ただし、明かり一つですべて食い止められるという過大な期待は禁物」とあるように、この照明の結果のみで自殺が減ったと言い切るのは早計かも知れません。
ですが、同じ駅で続けて自殺が起きたら、それこそ弘明寺の坊さんを呼んで祈祷でもしたくなるところでしょう(本当にやったとしても関係者を笑う気にはなれません)。ある駅で自殺が多くなりやすい原因(そしてなくなる原因)というのは相当複雑そうで、そうそう分かるものではないでしょう。だから、「藁にもすがる」ような試行錯誤をするしかないのでしょうね。
しかし、この「青い光」というネタを早速こういうネタにする辺り、bogusnews も案外鉄道ネタ好きですな。もっともこの「青い光」では、常磐線が一日運休したような気が・・・
by bokukoui | 2008-12-12 23:59 | 鉄道(時事関係) | Comments(6)

京急も「わらにもすがる思いで導入した」とのこと、こうした対策も大事ですがやはり社会の閉塞状況の解決という根治療法もまたすすめないといけないと、自殺のニュースを見て感じるのです。
青い光……(バケツ核爆)
鉄道会社としては藁にでもすがるしかなさそうですが、根本的対策こそ大事ということは全く仰る通りだと思います。
日本の自殺の多さは、文化的要因も影響しているのかも知れないと思います。つまり、困ったら「死ねばいいのに」という発想がかなりあるということも関係しているのでは、と思うのです。ハラキリの国ですので。

出典は忘れてしまいましたが。
現地では誰も知らないというフランダースの犬ですね。フランドルは悲惨な戦場が多すぎて、子供と犬程度では反響が乏しいでしょう。
ところで、あとで親に確認したところ、弘明寺駅は昔も、自殺は時折あったそうです。全く嬉しくない「名所」の一つではあったようです。なるほど、照明も変えたくなりますね・・・

コメントありがとうございます。
早々に人身事故ですか・・・やはり効果は限定的なものだったのでしょうか。
報道としては目新しいことに注目が行きがちなのは如何ともしがたいところです。情報を消費する側も、粘りが必要なのだと思います。