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2009年 03月 05日 ( 1 )

『諸君!』秦郁彦・西尾幹二「『田母神俊雄=真贋論争』を決着する」

※註(2009.3.24.補足):この記事に続く関係記事は以下の通り。
秦郁彦・西尾幹二「『田母神俊雄=真贋論争』を決着する」評 続き」
『田母神俊雄=真贋論争』を決着する」評 蛇足的まとめ
『諸君!』秦郁彦・西尾幹二対談評への西尾氏のコメントについて

※註(2010.12.31.補足):この一連の記事が西尾氏の著書に引用されました。
『西尾幹二のブログ論壇』をご恵贈いただく~ぜんざいの塩

 先日新聞の社会面を見ていて、文藝春秋社の雑誌『諸君!』が休刊するということを知り、驚きました。創刊40年になる保守系のオピニオン誌で、かなり有名な雑誌ですから。更に、昨今の世相からすれば、『諸君!』の論調は世間に対する受けはむしろ良い(少なくとも逆風はない)はずなのでは、という疑問が浮かびました。
 時事ドットコム「雑誌「諸君!」休刊へ=文芸春秋」によると、「最高部数は2006年の8万5000部、最近は6万4000部程度」だそうで、実売はもっと少ないにせよ、40年の歴史で比較的最近に最高記録を立てたにしては、見切りを付けるのが何とも早い感がしますが・・・

 そんなわけで、『諸君!』のことが気になっていた昨日、駅構内の書店で3月1日発売の同誌4月号を見つけて手に取ったのですが、表紙に刷り込まれていた記事の表題に目を剥きました。煽り文句を含めて表題を書くと、

 重鎮・直接対決! 捨て身の問題提起か、ただの目立ちたがりか
「田母神俊雄=真贋論争」を決着する

 というものでありまして、つい先日、田母神氏の「論文」が掲載されたアパグループの冊子『謀略に!翻弄された近現代 誇れる国、日本。』についての記事を書いた身としましては、やはりこれは読まねばと感じたのでした。更にいえば、ネット上ではこの冊子に関する評論は小生の記事の他まとまったものは少なく、小生の記事がネット上では最も重要なものと自負しております。なんとなれば、googleで件の冊子のフルタイトルを入れて検索すると、小生の記事がトップになるので(笑) 以下に証拠画像を掲げておきます。
『諸君!』秦郁彦・西尾幹二「『田母神俊雄=真贋論争』を決着する」_f0030574_2320174.jpg
 当のアパグループに検索ランキング争いで革命的勝利を収めるとは、コミンテルンの陰謀に違いありません。

 閑話休題、その場で『諸君!』を一読した結果、これはあまりに酷い――もちろん西尾氏が、です――と感じ、日本近代史を学ぶものとしては一言書いておいた方が良いのではないかと思い、ここに記事を立てるに至った次第です。秦先生の著作には、高校時代『第二次大戦航空史話』を読んでソ連の女性飛行士の話で萌・・・もとい、研究の際の参考文献としてお世話になった恩義もありますので、ネット上では数としては多そうな西尾支持の声と違ったものを打ち出していきます。
 え? ではその場で『諸君!』買ったのかって? いや、図書館で該当ページをコピーしまして・・・なるほど、休刊になるわけだ。

 まず、ネット上での、この対談についての反応を、ざっと検索して見つかった範囲で挙げてみます。数的には西尾支持がずっと多いようです。

・西尾幹二のインターネット日録 ↑対談の一方の当事者・西尾氏のブログ。(一)は記事の背景で、(二)(三)が読者からの反応。当然読者の声は西尾支持ばかり。
・書道家ABC版「西尾幹二氏、秦郁彦氏の偽善「歴史家」の素性を看破する」
・syuunのSYUUN的こころ
 ↑タイトルから分かるように、同じ内容の文章が2箇所のブログに。はて?
・TEL QUEL JAPON「『諸君』4月号:重鎮・直接対決(1)」 / 「同(2)」
・#やまさんのブログ「歴史はストーリー」
・Apes! Not Monkeys! はてな別館「「田母神俊雄=真贋論争」を決着する」
 ↑南京事件などの解説で有名な方のブログですね。当然この中で唯一、秦氏支持。

※追記(2009.3.8.)
 検索し直したら、秦氏の方を支持するブログ記事が幾つか見つかりました。西尾支持の方が「ずっと多い」というわけではなかったようです。失礼。
・元木昌彦のマスコミ業界回遊日誌 3月3日付記事
・人生朝露「『田母神塾』(田母神俊雄著 双葉社) 」
追記ここまで
※更に追記(2009.3.24.)
 コメント欄でご指摘いただいた記事へのリンクを追加で張っておきます。
・M.FUKUSHIMAの単刀直入
 これらの意見の多くは、秦・西尾対談の中で挙げられた、個々の歴史的トピックについて触れているものが多いようです。「書道家ABC版」「syuunのSYUUN的こころ」「TEL QUEL JAPON」「Apes! Not Monkeys! はてな別館」などがその傾向が特に強いと言えます。後は全体について大雑把に触れている感じです。

 小生はこれらの切り口とは少し異なった点から、主として西尾氏の言論を批判してみたいと思います。といいますのも、小生のこの対談を一読した際の感想は、議論が全く噛み合ってない、ということでした。西尾氏が「これが正しいのだ!」と叫ぶのを、秦氏は「あー、うざいなあ」という感じでいなしている、そんな印象です。
 曲がりなりにも日本近代史の勉強をしてきた身として、秦氏の発言は至極当たり前に感じられました。それに噛みついている西尾氏の言動は、歴史を論ずるということ自体を根本から分かっていない、と書くのが傲岸であるとするならば、歴史でない何かを論じようとしている、そのようにしか読み取れませんでした。であれば議論が噛み合わないのも当然です。雑誌の煽り文句で、広告にも掲載された秦氏の言葉が「西尾さん、自分の領分に帰りなさい」というのも、歴史でない話をしたいなら歴史でないところでやれ、という謂ということだろうと思います。
 しかし、ネットで見つけた上掲のいくつかのブログを読むと、歴史でないものを「真の」歴史と思い込んでいるブログが少なくないことに気がつきます。小生は、これこそがこの対談の最大の問題であろうと思います。つまり、歴史の「何を」論じているかではなくて、歴史を「いかに」論じているか、そちらが肝心なところだと。

 ので、以下では個別具体的な歴史トピックよりも、方法論の方に焦点を当てて読んでいきたいと思います。まあ、そうする理由はもう一つあって、個別のトピックを検討するにはそれなりに史料に当たるべきですがそんな暇はないし面倒だし、第一個別に突っ込んでいたら、ツッコミどころが多くて対談全文を引用せねばならず、『諸君!』編集部に怒られます。

(引用が長いので続きは以下に)

by bokukoui | 2009-03-05 23:59 | 歴史雑談 | Comments(22)