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やっと『月刊COMICリュウ』12月号雑感

 そろそろ次の号の発売日が近づいてきましたので、論文作業が忙しくなる前に片付けておきましょう。今月号は、今夏からといいつつようやっと連載が始まった、鶴田謙二『さすらいエマノン』が表紙でなかなか格好良し。

・ナヲコ「なずなのねいろ」
 引き続き回想篇。前号で示唆された眞さんとなずなの関係について描かれています。そろそろ次当たりからは現在に戻るのかな? なずなが三味線を弾くには、最初のきっかけとなった父、再び弾くきっかけとなった叔父がいたわけですが、今度は年下の他人である伊賀君が関わった時にどんなことになるのでしょうか・・・しかし、マジで伊賀君の名前を忘れかけていて焦りました。
 それはそれとして、幼少なずなのセーラー服姿がとても可愛いのですが、かわいいと単純に言ってしまうには胸の痛む美しさなのでありました。

 多忙で色紙プレゼントに応募できなかったのが無念・・・

・速水螺旋人「螺子の囁き」
 今回はロシアものではありませんでした。オリンパスのペンEEという、昔流行ったハーフサイズ(普通のカメラと較べ半分のフィルムですませるので、画質は粗いが節約になる)のカメラ。速水氏は今でも現用だとか。
 鉄道の写真集を見ていたら、吉川文夫氏が「一頃安いのでハーフサイズを使ったが、今見ると箸にも棒にもかからない」とかこき下ろされていた印象がありましたが、固定焦点で簡単に扱え、セレン電池で消耗品もなく、今でも使える。なるほど、ロシアもの好き速水氏のお眼鏡に適いそうなメカではあります。 

・黄島点心「くままごと」
 今回は二本立て。一本目の「種を蒔くこぐま」は多分、大熊が登場しない初作品では。今回は二本とも「食品安全」関係なのか・・・いやまあ、そういう社会性とこの漫画の面白さは別に関係ないと思いますが。

・とり・みき/唐沢なをき「とりから往復書簡」
 愛猫家の唐沢なをき氏が動物ネタを振ったのに対し、とり氏

「どいつもこいつも あいつもそいつも いしかわじゅんも
 飼ってる犬猫のことになると えんえんえんえん デレデレデレデレ しやがって」


 わりと共感。

・神楽坂淳/伊藤伸平「大正野球娘。」
 前号は一体何をやらかしたのかと思いましたが、やはり途中で落っことしていた模様。本題から外れた大暴投だった前号の、後半が今回載っていましたが、通して読めば結構いい話・・・やっぱ大暴投だ。

・永井朋裕「うちゅんちゅ!」
 なぜか知らねど2ちゃんリュウスレで評判の悪い本作、小生は大好きなんですが。
 で、今号もトンデモ幼稚園シリーズ。肝心の宇宙人はあんまり登場しないし、ひところのホームコメディ的方向からも変わって、さてこの先はどうなるのか? 幼稚園児をこういう風に描くこと自体になにがしか抵抗感を覚える人がいる(2ちゃんのスレでは『園じぇる』を例に挙げていたのがいたけど、???)ようなことには、少し驚きました。本作はそういう視点ではないように思うのですが、どんなものでしょう。

・大野ツトム「ネム×ダン」
 考えてみれば今までこの作品の感想を書いたことがなかったような。
 たまきひさお「トランス・ヴィーナス」と好一対? な作品です。遠く宇宙の向こうからやってきた宇宙人(的存在)が地球人に取り付いて、毎回これまた宇宙の果てからやってくる怪しい連中をやっつける、という枠は両作品とも同じで、取り付くキャラクターと取り付かれるキャラクターの性別が逆になっている(たまたまでしょうが)ためますます一対感があります。本作は取り付くのが男で取り付かれるのが女の子(めがねっこ)。で、どっちも面白いのが嬉しいところです。

・アサミ・マート「木造迷宮」
 ありきたりの材料(シチュエーション)を、ごく正統的な方法(ストーリー)で調理したものであったとしても、丁寧な仕事を積み重ねれば、それは芳醇な味わいをもたらすのであります。
 恰もこのお話中で、ヤイさんが作る肉じゃがの如く。

・安永航一郎「青空にとおく酒浸り」
 新参者にはネタが分からんところが多すぎるけど、もはやそんなことはどうでもいい作品ではあります。単行本は火星人刑事のようなことにはならないといいなあ・・・いや、もう既になっているのか。しかしそれを踏まえて「ぱんつじゃなければありがたくないもん」の台詞を考えると、斯界の先達としての余裕が感じられます。

・安彦良和「麗島夢譚」
 久しぶりにお話の続きが。台湾で暴れ回るオランダ兵、なんてのを読まされた日には、またぞろ Europa Universalis 2 なぞがやりたくなってきますが、時間がありませぬ。
 ところで、宮本武蔵は本作中どう見てもボケキャラのような・・・こういう描き方はあんまりない気がして、それもまたよし。

・いけ「ねこむすめ道草日記」
 巻頭カラー。単行本発売おめでとうございます。しかし正直、カラーでのキャラクターの顔色が、妖(あやかし)の猫娘はともかくも、小学生男子諸君のそれがちょっと不景気な感じが・・・猫娘だけでなく、彼らの可愛らしさも本作の魅力と思うだけにちょっと残念。お話の方は前号編仕立てで、次号が楽しみです。

・梶尾慎治/鶴田謙二「さすらいエマノン」
 巻末カラーでオールカラー。扉絵に出て来る都電の廃車体の魅力的なこと。戦前製ながら都電ほぼ全廃頃まで更新しつつ働いていた古豪1000形(1052とナンバーも描いてある)。塗装の褪色した表現もまた美しい(廃物が美しいというのも変な話ですが)。しかし都電末期の黄色+赤帯の褪色というよりも、緑っぽいので旧塗装だったように見えますね。これのポスターが欲しいので特典に・・・ならんな。
 え? 都電はどうでもいいからエマノンはどうしたのかって? 今回はオールカラーで8ページしかなくて(うち2ページは見開きエマノン)話は全然進んでいないんだから、「これはっ!」という一齣をためつすがめつ鑑賞というのでいいんではないかと。

・京極夏彦/樋口彰彦「ルー=ガルー」
 今号は休載でしたが、いなくなって初めて分かるありがたさ、と申しましょうか、やはりこれが本誌の看板なんだろうと改めて感じ、単行本を買い込みました・・・が、忙しくてまだ読んでいないという次第。

・横尾公敏「ロボット残党兵」
 アクセス解析をしたらここからリンクが張られていたのですが、もちろんご紹介いただいたのは大変有難いことと思っておりますけれど、元の記事からそのような引用のされ方をされるとちょっと微妙な気もします。

・「ちみもりを短篇集 SF編」(別冊付録)
 ゼオライマーのちみもりを氏の、デビュー作も含むらしい80年代の旧作を6本に、あさりよしとお氏との対談を収めるA5の小冊子。
 内容は、嗚呼栄光の80年代って感じです。ロボットが女の子を襲ってどうしたこうしたとか。しかし、これら短編の初出は書いていないのですが、多分『レモンピープル』とか『プチアップルパイ』とかですよね・・・早い話がエロマンガ雑誌に載せていた作品を別冊に付けているわけで、うーん大した編集部。ナヲコ先生の旧作を集めた単行本出したんですから、ついでに『DIFFERENT VIEW』も復刊してください。


 まだ読んで思ったことは幾らもあるのですが、あまり長くなりすぎると書くのも読むのも大変になりますのでこの辺で。
 しかし今回の別冊付録には驚きました。面白く読ませては貰いましたが、『リュウ』編集部はやはりエロへのこだわりがあるのでしょうか。もうこうなったら、年に一回『裏・COMICリュウ』とでも題して、今の連載陣でエロマンガ雑誌を出したらどうかと思います。きっと読者層が大きく拡大・・・しないかね、やっぱ。そっち方面の実績のある方もさりながら、エロというお題を出されたらどう切り返してくるのか、是非読んでみたい作家さんも多い雑誌ではありますが。

※追記:その後『リュウ』が附録で『リュウH』なる別冊を出しました。

by bokukoui | 2008-11-17 23:53 | 漫画 | Comments(0)

簡単に『月刊COMICリュウ』11月号雑感

 いろいろ忙しいのですが、また次の号が出そうなので、手短に。
 今回は新創刊2周年特集(小生が本誌を買い始めて1年ともなるわけですが)、ということで付録がいろいろついているのですが、そちらは我が琴線に触れるところなく・・・ま、本誌について以下簡単に。

・ナヲコ「なずなのねいろ」
 なずな回想編も大詰めでしょうか。なずなの、父から引き継いだ天性の音に心揺れる花梨さん。そしてようやく、なずなが叔父の眞さんに、密かに三味線の手ほどきをしていたことの繋がりが見えてきました。花梨さんと眞さんの繋がりはいよいよ妖しさを増してきましたが・・・
 幼少なずなが三味線を弾いているシーンで、三味線の「カンカン」という音の書き文字が、マジックで大胆に書いてあって、しかもわざと(でしょう)文字を塗り残してあるあたり、なずなの荒削りな音が伝わってくる感じです。

・速水螺旋人「螺子の囁き」
 今回もロシアメカ、アントノフAn-2。戦後の1947年初飛行の単発複葉機、万能の軽輸送機です。ポーランドで1991年まで作っていたとは・・・地上を見やすくするのか、ちょっと変わった風防が可愛いです。

・神楽坂淳/伊藤伸平「大正野球娘。」
 大正なのに扉の絵がT-34/85・・・。いきなり後日談状態で、おまけにペン入れ怪しいページもあったり、そして途中で終わっているような・・・。女の子の絵はラフでも、T-34はきちんとペン入れしてるのはどういうことか。
 いきなり心配になってきました。

・大塚英志/ひらりん「三つ目の夢二」
 エプロン+和服の女給さんに目が奪われた読者は決して小生のみではないはず(ホテルの従業員なら「女中」でいい気もしますが)。それはそれとして、震災の中で夢二は幻想モードに入り込んでアレなシーンになっております。

・石黒正数「響子と父さん」
 いよいよ石黒作品再登場。微妙な距離感を堪能。とはいえ現状では「ネムルバカ」ほど印象が強くないのですが、シリーズを今後重ねて魅力も深まることを期待します。

・ちみもりお/ワタリユウ「冥王計画ゼオライマーΩ」
 新連載。何でも昔のロボットアニメの復活というか続編みたいなものらしいのですが、ロボット系を受け付けない小生としては如何とも評価しがたいところです。とりあえず女の子はとても可愛らしく、初回から触手まがいに絡め取られるなど、見所も。
 で、何で受け付けないのに感想を書いているのかといえば、ナヲコ先生の『からだのきもち』のあとがきで、編集が「ゼオライマーも出したし」、だからナヲコ先生のエロ作品集も出しましょう、という文脈で出てきたので気になったので・・・正直関連は分からん(笑)

・安彦良和「『麗島夢譚』事始」
 エッセイ漫画としても面白かったのですが、次回から連載再開らしく、喜ばしいことです。それにしても、博多から筑肥線経由で平戸に行ったら、そりゃ時間かかりますわな。

・たまきひさお「トランス・ヴィーナス」
 祝隔月連載決定(それにしても、月刊連載の漫画と同じくらい、隔月や不定期の連載があるのではないかと・・・)。一気に読まされるパワーの点では、本誌でも随一の作品と思います。「純愛も 行き着く先は肉欲なのよ」ってなもんで。

・アサミ・マート「木造迷宮」
 扉絵を見た瞬間、ヤイさんの幼少時代の話かと一瞬思いました(笑)。駄菓子屋のバアさんがいい味を出しています。

・安永航一郎「青空にとおく酒浸り」
 今回は本来のストーリーに戻って一安心。「ノーパナイザー」ってのは、目にも止まらぬ速さで女性のぱんつ(下着の方)を脱がす奇怪な技を使う輩、という意味だと思っていたら、ちゃんと本来の? 意味があったんですね。

・魔夜峰央「黄昏マンガ家ミーちゃんのSFですよ」
 「クレプスキュール」が一応終わったので、今度はエッセイ漫画。『リュウ』編集部はSF好きが多いんでしょうか。コマ割りがひたすら横にだけ区切っています。

・永井朋裕「うちゅんちゅ!」
 幼稚園ネタが引き続き。ある意味『LO』よりいかれてます。

・つばな「第七女子会彷徨」
 今回も二本立て。もしかするとこれはすごい作品なのかもしれない、と思うようになりました。今回は特に、死んだ人の意識をデータ化して「天国」を作ってしまう話が特に。

・天蓬元帥「ちょいあ!」
 『電撃大王』だとか『まんがタイムきらら』だとかの掲載でも違和感のない作品だけに、個人的にはあまり注目しておらず、殊にガスマスクをいつも装着していたガス子がガスマスクを取ってただの美少女になってしまったのは遺憾だと思っていましたが、今回久々にガスマスク姿が見られたのは良し。あとどうでもいいお国自慢ネタもよかったのではと。岡山といえばママカリもいいですが、大手饅頭は外せない。


 駆け足で見てきましたが、今回も基本的には満足の内容。次回はやっとこさ『さすらいエマノン』掲載ということで期待大です。
 それにしても、今号の『ゼオライマー』だとか、付録の出淵裕『機神幻想ルーンマスカー』だとか、大暮維人『BURN-UP EXCESS&W』だとか、ひとむかし或いはそれ以上前の漫画を、復刊させたり続編を出したり、そういうのが『リュウ』周りは多い気がします。そのお陰でナヲコ先生の作品も、未収録作品が単行本化されたので文句のないところですが、市場の飽和というか成熟がこういった方針を採らせているのでしょうか。
 で、小生がふと思ったのが、

『COMICリュウ』の商売敵は復刊ドットコム

 ではないかと。実際、ナヲコ先生の単行本未収録作品集は復刊ドットコムで要望されて、結構票集まってましたからね。
 或いはむしろ逆に捉えるべきかもしれません。復刊交渉開始の目安である100票まで行かなくても、この分ならいけそう、というのを漫画を扱っている出版社が先に目をつけて交渉すれば、復刊ドットコムよりも或いは手早くやりやすいかもしれない、そんなことをふと思いました。フリーライダー的やり方ですけど、本気で出すならノウハウのある方が、漫画雑誌を定期刊行しレーベルも持ってる方が、有利でしょう。なんだか野党のよい政策を丸呑みして、実行したら自分の手柄面する自民党みたいですが。

by bokukoui | 2008-10-13 23:55 | 漫画 | Comments(4)

11月号も出たのに『月刊COMICリュウ』10月号雑感

 いろいろトラブル続きだった電子機器関係の環境も、憑かれた大学隠棲氏のご指導のおかげでかなり使えるようになりました。まだ細々といろいろ残っておりますが、そして部屋そのものの環境はむしろ混沌度が増しているのですが、これで作業効率は大きく改善されたものと思います。ただしこれまで効率低かった分の(体調もあるが)ツケはまだだいぶたまっておりますので・・・再来月には学会報告もあるし、なかなか気の休まる暇がありません。

 そんなわけで、今月発売の『COMICリュウ』もまだ読んでいないのですが、先月号の感想が速水螺旋人「螺子の囁き」の鉄道ネタについてしか書いておりませんでしたので、今回こそ簡単に感想をば。

・ナヲコ「なずなのねいろ」
 引き続きなずなの幼少時代回想篇。両親と別れ義母と姉(半分だけ血縁)のもとに引き取られたなずなが描かれます。義母が姉の花梨さんに、なずなに三味線を教えるよう命じます。
 「・・・はい・・・/・・・ねぇ、お母さん」
 「先生と呼びなさい」
 「おかあさん / おとうさんはどうしてこないの? どうして撫菜ちゃんを迎えにこないの・・・?」
 複雑な人と人との関係の中で、三味線との関係もまた様々に絡まって展開しています。

・安永航一郎「青空にとおく酒浸り」
 今月号はこれまでのストーリーと全く何の関係もなく、「瀬戸内海の西の方のちょっと信じられないすごい話大会」と題して、某県のコワ~い話を4つ紹介。いやあ、大分某県教育界(教育ネタ以外も1つあるけど)あなおそろし。しかし単行本化の際、この話どうするんでしょうか(あ、だからなかなか単行本が出ないのか)。
 ところで、このような噂話をもっともらしく広める効果的な手法は、過剰なほどしつこく「この話はフィクションです」と繰り返すことなんですね。「建前上フィクションです。」「フィクションです 信じないでね。」「やばいくらいフィクションです。」「何度も言うけどフィクションですから」・・・そして巻末の目次についている著者ひとことコーナーで「ここだけの話だが、実はフィクションというワケでもないんだ。」

・とり・みき&唐沢なをき「とりから往復書簡」

 単行本が出たので早速購入。最初からのネタが分かって大いに満足。単行本は執筆者によってページの印刷の色を変えてある凝りようですが、単色の雑誌版の方が読みやすい気もします。パッとページを開いた一瞬、とり・みきか唐沢なをきか、どっちの絵かわからない、そこがいいとも思います。もちろん編集部の気合いはひしひしと伝わってくるのですが。
 ところで今号の漫画では、とり・みき氏が「唐沢なをきが描いたとり・みきの自画像(唐草風呂敷のあれ)」を描くという実にややこしいコマが。単行本の帯の写真の元の絵を描いた時のシーンですね。

・黄島点心「くままごと」
 こぐまどもの名前が次第に判明してきて楽しみが増えました。ですが、「ツィッギー・ハィッギー」ってどう発音するんだ。

・永井朋裕「うちゅんちゅ!」
 「アンファン・テリブル」な幼稚園。実に「教育的」な保母さん。毎度ながら「酷い」漫画でした。(誉めてます)

・つばな「第七女子会彷徨」
 2本立て。このシリーズ、以前掲載されたときは印象に残らなかったのですが、今回はなかなか。特に「私達の顔は個人情報の塊! 顔隠し君大発売」の方が。それにしてもめんどくさい世の中になったなあ。

・いけ「ねこむすめ道草日記」
 今回は新キャラ・狛犬姉弟(当然犬耳)が登場。弟が妹に見えてなりません。狛犬の化けた姿が、袴を膝で括ってあるのに頭身が低いので、ちょうちんブルマ状態なのもまた良し。
 ところで、いけ氏はサンセットゲームズでTRPGの仕事もされているのか・・・。

・魔夜峰央「クレプスキュール」
 今回で一応最終回、単行本化との由。いかにも続きそうな終わり方なだけに、是非第2部に続いて欲しいですね。隔月掲載でしたが、1話がその分長く、さらに濃度も高い作品でしたので、大変読みでがあったいい作品でした。

・五十嵐浩一「REVIVE!」
 前回のレポで、「各話同士のつながりが迷走している」という感想を書きましたが、なんと今回で最終回に。もうちょっと展開して、まとめて欲しかった感があります。

・坂木原レム「フルイドラット」
 扉絵が・・・なんといいますか。ミズキ-サイネンとアルミ-マリカの関係を並行して読んでみるのもまた楽し。

・神楽坂淳/伊藤伸平「大正野球娘。」
 顔見せ乳見せだった前回(第1回)と違い、今回はちゃんとお話が。お嬢様が、野球をやっていた青年(見合い相手・銀行家子息)の阿呆さ加減に激怒して、自ら野球チーム結成に乗り出します。なかなか面白いですね(原作の筋か、漫画の良さかどっちが大きいかは分かりませんが)。体育会系は明治時代から暑苦しかったのですね(小生は「体育会系はなぜ暑苦しいのか」という歴史研究を卒論でやろうとして挫折したことがある)。それにしても、この作品の設定の2年後は金融恐慌ですが、件の銀行家は無事だったのでしょうか。
 ところで、この原作小説はアニメ化されるそうですが、スカートの長さが短すぎますね。膝が見えるなんて、はしたなくってよ。この点は漫画の方がちゃんとしてますね(挿絵は未確認)。

・大塚英志/ひらりん「三つ目の夢二」
 以前別な騎崎サブゼロ氏作画で連載が始まったものの、その方の健康問題で中断、仕切り直しだそうです。大塚英志原作の漫画といえば、小生が読んだことがあるのは『オクタゴニアン』だけですね。あれも面白かったのですが、続きは・・・。
 それはさておき、これも大正です。ひらりん氏の作品は、以前連載されていた「のろい屋しまい」がありましたが、それと比べると絵の感じも少し変わって、読みやすくなっています。「のろい屋」はどうもページ内に情報を詰め込みすぎの傾向があって、もちろんそれが面白いこともあるのですが、往々作品の幹が見失われ、一読「ん?」となることがありましたが、今回はそのようなこともなく。
 袋を被った怪しい男の登場に『オクタゴニアン』を思い出しました。次回が楽しみです。

 
 早いとこ山積する所用に目鼻をつけ、今月発売の号にも取りかかりたいものです。

by bokukoui | 2008-09-25 22:01 | 漫画 | Comments(4)

今更ながら『月刊COMICリュウ』9月号雑感

 ゴタゴタ忙しくしたり、暑さでのびたりしているうちに、気がつけば八月も十日を過ぎていました。
 で、ふと思い出したのですが、先月「『月刊COMICリュウ』10ヶ月分まとめて感想」なんて記事を書いたあと、19日にナヲコ先生の単行本共々『月刊COMICリュウ』の9月号を買って読んだのに感想を書いていませんでしたね。折角カテゴリ作ったのにこれはいけません。そこで・・・と思ったのですが、その後少々考えた結果、カテゴリよりタグの方が記事一覧が出てくる分使い勝手がよいのではないかと考え、タグに切り替えることにしました。ついでに、という言い方もなんですが、「ナヲコ」先生のタグも作りました。ナヲコ先生の単行本も勿論読んだ以上は感想を書くべきなのですが、それはかえって非常に難しいことなので、いつか精神的余裕が出来たとき、ということで。

 ところで先日友人に、「お前のブログは長すぎるから読む人が少ないんだ」と言われたので、その友人に学んで極力短く書くように、今回はやってみましょう。かえって難しいんですけど。

・ナヲコ「なずなのねいろ」
 なずなの秘密がいよいよ明らかに・・・なるのは次号のようです。ブリキの太鼓ならぬ三味線、なんて想像が(三味線を自作した場合、皮は何が使いやすいでしょう? 近所の猫をアレするわけにはいかなさそうで)。
 回想シーンでわずかに登場するなずなのお母さんの表情と台詞(の沈黙)が、印象に残りました。

・神楽坂淳/伊藤伸平「大正野球娘。」
 初回巻頭カラー。初回ということで何か違う方向にはっちゃけていますが、次回はちゃんと野球するそうです(笑)。セーラー服は最初体操着的に導入されたようなので、セーラーと袴が混在しているのはなかなか宜しいことと思います。

・安永航一郎「青空にとおく酒浸り」
 いつもにもまして濃いめ。徳間の雑誌で「崖の上の放尿(ホニョ) もらさなくてよかった」という小ネタも冴えてますが、やはりアレなおっさんキャラがこの作品の愉しみ。今回のメインゲストキャラである「国恥記念日」と大書したパンツをはいたおっさんも強烈。今回限りにするのは勿体ない。

・宮部みゆき/中平正彦「ドリームバスター」
 『リュウ』を1年近く読み続けて、やっと本作の作品世界を少しは掴めるようになったかも。新展開で久しぶりのリエコ登場も、成長しているようで成長していない、人に期待されるということに舞い上がってしまう、そんなところに胸が痛みます。

・西川魯介「ヴンダーカンマー」
 ますますシリアス路線に転換し、今回はコメディ要素なし。それはそれとして、カッセ少尉のかぶっている鉄兜はちょっと欲しい。あの石炭バケツ形ヘルメットに「安全第一」と書いてあるのですが、緑十字のところが鉄十字(パテ十字)になっているのです。

・いけ「ねこむすめ道草日記」
 男の子たちの可愛いらしさもまたよし。小生ショタのたしなみはありませんけど。

・あさりよしとお/鶴田謙二/たまきひさお/加藤直之「追悼野田昌宏」
 SFにはとんと疎い小生ではありますが、野田氏のお名前は聞いたことがありました。SF売り場の「近辺」は結構うろうろしてましたから。パイオニアの方が74歳ということは、斯界も成熟したのだとも捉えられましょう。
 ところで鶴田先生、『エマノン』の続きは如何相成ったのでしょうか?

・アサミ・マート「木造迷宮」
 対抗心を燃やすヤイさんの表情が素晴らしいです。幼時のヤイさんの絵も二コマとけちらずに描かれるのを希望。
 結局このような表情を引き立てるには、道具立てはありきたりであることがむしろ望ましいのかも知れません。しかしけん玉の資料を捜す前に、家屋に関する資料を・・・(まだ根に持ってる) 

・魔夜峰央「クレプスキュール」
 毎度思うのですが、笑うシーンとシリアスなシーンとの配分や構成が絶妙なんだなーと感心。ところで次回も掲載なのは嬉しいのですが、もしかして終わり? と心配の方が先に立ってしまいます。

・永井朋裕「うちんちゅ!」
 宇宙人との異世界遭遇を織り込んだホームコメディ、と思っていましたが、実は男オタクの妄想をもっとも煮詰めたという点では本誌随一の危険なマンガかも知れません。

・坂木原レム「フルイドラット」
 ミズキさんの飾らない「色気」と、アイドルの人工的な「かわいさ」との対比に感心。

・五十嵐浩一「REVIVE!」
 秋葉原通り魔事件を早速作品中に取り込んでいます。7月19日発売の雑誌のマンガで間に合うものなんですね。
 このマンガ、一話一話は結構面白いんですけど、連載としては話がどっちに向かっているのか時々分からなくなります。一話完結って訳じゃなさそうだし。

・たまきひさお「トランス・ヴィーナス」
 別に何か特定の作品を指して言っているわけではないつもりですが、作者が一人疾走してしまっていて、読者は呆然と口を開けたままその走っていく様子を眺めているだけ、なんて漫画が折々ありませんか。長期連載を途中から読んだりしたときはやむを得ない面もありますが、初回から読んでも時としてあるのではないかと思います。
 なんて話をしたのは本作がそうだと言いたいのではなく、全く逆で、一読即引っ張り込まれる、そのスピード感がたまらないと感じた次第。
 ところで作者の方の名前に見覚えがあったのですが、やっとさっき園田健一『GUN SMITH CATS』のアシスタントだったと思い出しました。久しぶりにガンスミを引っ張り出して、あとがきコーナーの田巻氏の絵を見ると、ソノケンがこう注釈していました。
 「彼は“雑誌ブレイカー”らしい」
 ・・・『リュウ』は大丈夫だよね?

・速水螺旋人「螺子の囁き」
 今回のお題は「コングリーヴロケット」。ナポレオン戦争の頃イギリス軍が使っていたロケット兵器ですね。小生はどっちかというと「コングレーヴロケット」だと思ってました。
 で、このロケットはまあそれなりに有名と思うのですが、今回のこのコラムの目玉はむしろ、コングリーヴロケットのモデルになったインドのマイソール王国のロケット。これは見たことがなかった。安定棒が竹だったんですね。竹の棒に黒色火薬を詰めた木筒をくっつけた、ロケット花火の親玉というわけ。
 同じ時代の日本では、黒色火薬の扱い自体は慣れていたし、竹の工作もお手の物だったのに、こういうものは開発しませんでした。やはり平和が何より。
 ところでこのロケット、運動エネルギーで対象を破壊するというより放火用だったんでしょうか。ウェリントンはロケット兵器を好まず、都市を焼き払うくらいにしか使えないが幸い使う機会がない、とか言ってたと何かで読んだ覚えが。といって推進薬と炸薬を別にするほど凝っていたのか、機会があれば調べてみよう。

※追記:炸薬の話ではないですが、ロケットの余談はこちら参照。

・読者返信用はがき
 今月はちゃんと「螺子の囁き」になってました(笑)

 さて、まだまだ触れたいことはあれど、やはり短く書くことは難しいなあということに気付いたもので、今月分はこの辺で。畏友の境地に達するのは、小生には難しそうです。
 なお、来月号と同時に『とりから往復書簡』の単行本が出るそうで、これは買うかも。

by bokukoui | 2008-08-11 23:59 | 漫画 | Comments(4)

ナヲコ先生単行本2冊同時発売記念企画 なずなのぱんつ考

 世相の話などすれば暗澹たる思いになり、趣味的な話をすれば繰言になり、身辺の話をすればただ沈黙よりなく、とかく人の世は住みにくい感ばかりする今日この頃ですが、時にはいいこともあるのだということで、表題の如くナヲコ先生の新刊に寄せる期待と『月刊COMICリュウ』の話などしたいと思います。

 というわけで、ネットでも書影が公開された様子なので、以下にご紹介。


『なずなのねいろ(1)』
 『月刊COMICリュウ』連載作品を単行本化。三味線を奏でる少女・なずなと出会った高校生・伊賀君が三味線部を作ろうと・・・というお話。でもやはりナヲコ作品にとってしばしば重要テーマである「きょうだい」が、boy meets girl 的な話にとどまらない厚みを作品に与えている(と、個人的に思います)。


『からだのきもち』
 単行本未収録のかつての作品をまとめたもの・・・とはつまり、復刊ドットコムのリスト(はてなダイアリーのキーワードにも同じのが)に明らかなように、本来は成年向けだった作品集。

 『月刊COMICリュウ』でナヲコ先生の連載が始まったということ自体結構驚いてそして嬉しかったものですが、順調に連載が続いているからには単行本化、という流れは順当なところです。
 しかし、しかし、まさかかつての作品集まで出るとは・・・最初、先月発売の本誌の広告ではタイトルしか載っていなかったので「?」だったのですが、驚き喜び、かつ『リュウ』編集部の素晴らしいセンスと英断に感動して、思わず当ブログに新しいカテゴリ[特設]『COMICリュウ』関係まで作ってしまいました。一応「漫画」の下位分類ということで[特設]とした次第。「関係」なのはコミックスも扱う予定なので。
※追記:閲覧・記事作成双方の利便性を考え、カテゴリをやめてタグにしました

 確かに、『リュウコミックス』はベテラン作家の旧作の再版も結構やっているようですので、それだけならまあそういうこともあるのかな、とは思えなくもありません。が、曲がりなりにも「成年コミック」の類として当初発表されたものを、普通のレーベルで黄色い楕円マークもなしに出してしまうというのはやはり驚きました。
 ナヲコ先生ご自身からして
わたしの未収録ってことは、マーク付きなんじゃ!?

と思いきや、マークなしなのです………………………
工工エエエエ(゚д゚;)エエエエ工工工工エエエエ(゚д゚;)エエエエ工工
しかもノンジャンルなんです!!!!
工工エエエエ(゚д゚;)エエエエ工工工工エエエエ(゚д゚;)エエエエ工工
(といってもぼーいず系のえちいのは避けました)


思い切りすぎじゃね!?徳間書店さん!?
 と仰るほどですので。
 しかしマークをつけないどころか、編集部は『なずなのねいろ』とセット売りする気満々ですね。帯を見れば一目瞭然で。あと、ネット上で当初伝えられた書名は『連立H方程式』だったらしいですが、書名を変えたのも『なずな』と揃えるためのような気がしてなりません(笑)。商売としてはもちろん至極妥当なことと思います。
 で、ナヲコ作品の年来の読者ならば、Hシーンがどうこうとかマークがうんたらという皮相的なことで、ナヲコ作品を語るのは愚かだと分かっているからいいんですけど、このご時世それで大丈夫なのでしょうか。いや大丈夫であるべきなんだけど。むしろ編集部にはこのまま突っ走って欲しいと心から思うのですが。

 と、ここでふと冷静になって考えてみるに、『リュウ』編集部はえっちな漫画を出してみたかったんじゃないかと思うに至りました。ここ10ヶ月ばかりの新参者の読者ではありますが、そう思った経緯を以下に述べてみたいと思います。というわけで、今回かかる表題をつけた次第なのでした(別にパンツの話という訳ではないです)。

(今回もいろいろ引用があるので続きはこちら)

by bokukoui | 2008-07-09 23:58 | 漫画 | Comments(4)

今度こそ

 また暑さがぶり返して微妙な状況に陥ったりもしましたが、何とか今度こそは回復方向に向かっているといえそうです。で、溜まっている用事関係方々(図書館の資料をだいぶ滞納してて・・・)、久々にちょこっと出かけてみたりして、そこでナヲコ先生の新作が載っている徳間書店のマンガ誌『月刊COMICリュウ』なぞ買い込んでみたり。
 用事山積で読み込んでいる暇なく、またどうも脳味噌がまだ茹っている感じなので感想はまた後日、とさせていただきますが、mixiの「ナヲコ」コミュニティがこのことに何も触れていないというのは如何なものか、と思うことしばし。やはりmixiは役立たずなのかと偏見に満ちたことをまず思い浮かべてしまいます。といってじゃあお前が書け、というのなら、いっそ書くならブログで書く方がまだ有意義だろうと思うのであります。

 二月ほど碌に文章を書けなかったので、「書く」行為のリハビリがてら、ボチボチやっていきます。こんな駄文でも何がしかの自分宛の意義はあったようで。

by bokukoui | 2007-09-23 16:36 | 出来事 | Comments(0)

『Sweet Sweet Sister』復刊

 数日前ナヲコ先生のサイトを見に行ったら、玄関のイラストが、ナヲコ先生が挿絵を描いたJ・さいろー氏の小説『Sweet Sweet Sister』の登場人物・早川可奈子に変っていたので、年明け以降あんまり更新なかったけど結構なことだと思っていたら、表題のようなことだそうです。
 大変結構なことと思いますが、正直びっくりしました。

 何でも、『Sweet Sweet Sister』の著者のJ・さいろー氏の新作『クラスメイト』が出るので、それに合わせて復刊、というか正確には再版される由。
 しかしこの手の小説で、2001年10月初版のものが5年半も経って再版されるというのは、全く以ってかなり珍しい事態なのではないかと思います。むしろ別な出版社から復刊という方が、まだありそうな気がします。
 既に持っている身として正直に言えば、別な出版社から装いも新たに復刊だったらもう一冊買い直しても良いけれど、誤植訂正程度では・・・。

 驚きといえば、さいろー氏の新作がコアノベルズNo.002となっていることに驚きました。なんとなればこのレーベルの前作がほかならぬ『Sweet Sweet Sister』なわけで、つまりこのレーベルは第1作が出てから5年半もほったらかしだったわけです。てっきり消えたとばかり思っていました。
 コアマガジンには前科があって、『Sweet Sweet Sister』発行を遡ること一年余前、2000年7月に「HOT MILK NOVELS」と銘打ったレーベルを出し、第一作として雑破業『だいすき!』上下巻を出したものの、小生が知る限りでは後に続きませんでした。確かその後、雑破氏はKSSへと移られたんでしたっけ。
 そんなことがあってから一年ちょっと後に『Sweet Sweet Sister』が出されて、本作自体は古書価格の高騰に示されるように評価が高かったのではありますが、レーベルはやっぱり後に続かなかったのを見て、やはりこういう小説を売るのは難しいのかなと思ったのでした。それが復活というので驚いた次第です。いや、単に新しいレーベルのロゴとかをデザインするのが面倒だっただけなのかもしれませんが。

 とまれ、こうしてコアノベルズはJ・さいろー氏専用レーベル? として甦ったわけで、小生としても新作は購入の予定です。今度は小説の作者は同じでも絵の傾向がだいぶ変っていますが、それが読者にどのような印象を与えるのか、その点に興味が湧きます。(※追記:買った時の話はここ
 この手の小説は読者を興奮させるように持って行こうとするのが普通なのではないかと思いますが、『Sweet Sweet Sister』はむしろ読者を妙に冷静にさせるような、不思議な感覚をもたらします。本書はエロ小説なのだからそういった描写は多いわけで、というか行為の質的な過激さや分量の多さは相当なものだと思うのですが、しかし読み終わるとあんまりエロかったという気がしなくて、厚いのに不思議と読み足りないような印象が残ります。
 これが恐らく本作の古書価を高からしめた理由ではないかと思いますが、それがどこまで挿絵によって影響されているのか、それは是非新作を読んで確かめてみたいところです。

 にしても、そういえば葦原瑞穂(高坂麻衣)の『ファーレンの秘宝』も復刊されてたし、この世界もそれなりの蓄積が生まれて、J・さいろー氏はいうなれば雑破氏の後を襲う存在にあるのでしょうか。いや、そもそもそういう見方自体正しいのかな? そろそろ歴史や系譜を振り返ってみてもいいのかもしれません。

by bokukoui | 2007-02-22 23:59 | 書物 | Comments(0)

コミケット71顛末

 当初の予定では今年一年を振り返るまとめ記事の予定でしたが、本日参加したコミケット71に関し書くべきことが少なからずあるため、今年のまとめは「回顧と展望」(笑)とでも題して新年に先送りすることとし、様々の出会いに恵まれた今次のコミケ報告を以って本年の締め括りに代えさせていただきます。

 さて、まず当サークルの状況について簡単に。
 なにさま新刊もなく古い本の在庫セールという状況で、多少の士気低下もあって搬入をやや控えめな数にとどめておりました。が、当サークルの主力頒布品である『英国絵入諷刺雑誌『パンチ』メイドさん的画像コレクション1891~1900【改訂版】』、『不完全メイドさんマニュアル』、『不完全メイドさんマニュアル【拾遺】』の三冊を纏め買いしてくださる方も少なくなく、気が付けば正午ごろにはこれらは完売してしまいました。その後も多くの方にご来訪いただきましたが、ペーパーも13時過ぎになくなってしまい、無駄足となってしまって申し訳ありません。なんとも困った、しかしまた正直同人誌作成者としては嬉しくもある誤算でした。
 思うに「メイド」趣味が今尚安定して成長? していること、今回の大晦日コミケが、おそらくは曜日との兼ね合いや安定した天候のせいもあってでしょうが、多くの人が来たのではないかと思われること、これらが原因なのではないかと思います。正直このところやや「メイド」同人活動の士気低下気味の小生でしたが、来年はまた気合いを入れなおして取り組むだけのことがあるようです。
 もっとも、来年の「メイド」の状況がどうなるかは分かりませんが・・・今度こそしぼむかな? 何しろさっき、紅白歌合戦で和田アキ子がピンクの「メイド」服着て「萌え~」とか言ってた位なので(苦笑)。
 ともあれ、来年も続けるだけの励みになりました。ご来訪くださった皆様に心より感謝いたします。

 さて、コミケの主目的は本を売ったり買ったりすることですが、それに伴う人との出会いもまたコミケの楽しみであり、小生の場合そのウエイトが次第に増してきたようにも思います。そして今回は、特にその方面で大きな成果があったように感じられました。
 まずご来訪下さったのは、歴史系「メイド」サークルとしてもっとも著名な、SPQRさんでした。開場前にご来訪くださって新刊をくださいました。精力的かつ真摯に研究しておられることに頭が下がります。なによりお返しに渡すべき当方の新刊は存在しないことがなんとも情けないことです。
 開場後来てくださったのは、まずはいつもおなじみ小手鞠萌さん東京大学メイド研究会の笹川会長で、騒がしいコミケの一隅でひと時楽しく歓談しました。笹川会長には新刊も頂いてしまい恐縮至極、なによりお返しに渡すべき(以下同文)。

 そしてまさか、という訪問者の方が。
 まず、先月小生が索引をこしらえた『エロマンガ・スタディーズ』の著者・永山薫さんがわざわざお運びくださいました(コミケに参加されるとブログにあったので、訪ねてみようと考えてはいたのですが)。大変恐縮しました。同書制作に関するお話などを伺うことが出来て大変有意義でした。あとで『少年』の出版社を直しておこう。
 そして、小生がネットをはじめた前世紀以来好きで見ている、類例のない絵とお話のサイト「銀茄子園」の作者である銀茄子さんが来て下さいました。先月、銀茄子さんが『閉ざされた部屋』という書物のことをサイトに書いておられた時に、ちょっと小生がご連絡申し上げたことがあり、そのため今日わざわざおいで下さったのでした。何年も前から尊敬申し上げていた方にお会いできて感動も一入でした。

 サークルで売る方は昼過ぎには終わったので、協力者のA井氏・A澤氏(どうもありがとうございました)にお任せして多少館内を巡覧。といっても行くところは限られており、カマヤンさんの新刊と発掘された在庫を入手してちょっとお話させていただいたり、以前ナヲコ先生の本を買いに行ったイベント「ショタスクラッチ」主催の松村直紀さんがおられたところでショタのカレンダーを買い込んだり(今年は鉄道の日イベントに行けなかったので卓上カレンダーがなかったというだけの理由です。ホントだってば・笑)、そしてナヲコ先生にもご挨拶して、「ナキムシのうた」制作秘話?を教えていただいたり、買った本の数は少なくとも充実したコミケでした。他にも旧友諸君と色々と会えたし。

 というわけで、大変充実した一年の締め括りでした。
 多くの方に訪れていただいたことは大変嬉しく、今後の活動方針についていろいろ迷いのあった小生にとっては何より励みになりました。ご来訪下さった皆様に感謝申し上げます。
 そして、ここで上に名前を挙げたような、自分独自の分野で優れた活躍をしておられる方々とお会いできたこともまた、嬉しくまた励みになったことでした。以前にも書評の結論で述べたことがありますが、何事かに深く関心を持って営々と打ち込む人の営為は、やがてその蓄積が普遍性を持ちうるだけの可能性があるように思います。少なくとも、打ち込んでいる当人自身を豊かにしてくれると思います。ですので、小生は先日「革命的非モテ同盟」のクリスマス粉砕闘争について触れた折、「非モテ」と「オタク」とをくっつけたりするようなことへの違和感を指摘しましたのですが、広い意味で「オタク」であるということ(世間的な評価よりも自分の興味関心や嗜好に忠実に、何ごとかに打ち込んでいる人)はむしろより積極的な意義付けをしてもいいのではないか、そんな風に思っています。
 ただ、小生がそのように思っているのは、昔から自分の周囲にそのような尊敬できる「豊かなオタク」とでも言うべき人を多く見出してきたから、ということは確かです。ダメオタもいなかったわけではありませんが(苦笑)、そのような人との出会いが小生のこのようなものの見方を形成してきたのであると思います。そしてこの日も、小生のこの考えを具現したような多くの方々と出会えたということが、何よりの収穫だったのでした。

 と、大変充実した形で一年を締め括ることが出来ました。

余談:今日出会った方のうち何名かの方のお話から、「東大」と「オタク」の密接な関りをさらに再確認することと相成りました。これは冬休み中に「東京大学オタク物語」を完成させないと、って越年してしまいましたね。すみません・・・

by bokukoui | 2006-12-31 23:49 | 出来事 | Comments(3)

ナヲコ作品の評をネット検索して思ったこと

 ここらへんの話題の続き。

 先週のイベントの折に同好の士に会えたりしたから、ということばかりがすべての理由ではないのですが、ふと思いついて「ナヲコ」と検索エンジンに入力して出てきたサイトを巡ったりしてみました。で、以前の記事に対したんび氏から「ひとの記事の引用ばかりしないで自分でナヲコ作品の魅力を分析しろ」と苦情が入っていたのですが、部分的にそれに応えられそうなことを思いついたので、一筆しようかと思います。

 で、一般論から言えば、こういう言い方もなんですが、いわゆるメジャーなものではないナヲコ作品をわざわざネット上で書こうという人の大部分は、要するにナヲコ先生のファンである場合が多いということです。ですから基本的な立場に異存はあまりないので、読んでもちろん新たな見方に面白く感じることはあっても、そう衝撃を受けるようなことは余りありません。
 ただ、時にはそうではない場合もあって。

 例えばこちらの記事
 問題は次の箇所に集約されています。
小雪:
(中略)・・・でも『百合姫』に連載しているナヲコさん好きだな。『voiceful』っていうミュージシャンの女の子と、ちょっと暗い引きこもりっぽい女の子の話を描いている人なんだけど。あれも設定は学生なんだけど、「うまいなー」とわたしは思う。
モア:
ナヲコさんて、最近新しく出てきた人だよね。
 検索ぐらいしろー! と小生が噛み付きたくなったのは、この記事を書いた飯野由里子さんの経歴に感じるところがあったからかもしれません。ちなみに小生はまだ博論の提出資格はありませんが。

 とはいえこの話は枕で、本題はこれから。
 
 サイトに書評コーナーを設けておられる方は大勢おられまして、そういったところに『DIFFERENT VIEW』や『voiceful』の評と並んで様々な漫画の評を書いておられる方もまた、少なからずおられます。で、ナヲコ作品の愛好者は他にどんな漫画を読むのかな~と見て回るのも一興なのですが、小生はあるサイトで「?」と感じざるを得ない組み合わせを発見したのです。
 そこで、同じページに挙げられていた漫画とは。

 『嫌韓流』&『嫌韓流2』

 奇妙に感じた理由の少なからぬ部分はむしろ政治的理由だったのかもしれませんが、それを除外しても(しえるのかという問題はとりあえず措くとして)、やはり違和感を感じさせたものはあるのでして、小生はこれらの2冊を部分的立ち読みでしか知らないのですが、その際の微かな(あまりとどめる気にもなれなかった)記憶をせっせと掘り出してしばし考えた結果、小生がナヲコ作品のどこに魅力を感じているのかということの一つの理由が分かったような気がして、それで嬉しくなったのでこのような記事を書くに至りました。
 その点に関しては、『嫌韓流』に感謝したいと思います。

 先日のイベントで入手した『ナキムシのうた』は過去十年分のナヲコ先生の作品の総集編で、いかな漫画に関しては素人に毛が生えた程度の審美眼しか持たぬ小生ではあっても、仔細に見てみれば絵も多少は変わっているんだなあという感も受けたのでした(目の雰囲気とか)。しかしそれでもやはりこの作品は同じ人が書いたのだろうと納得させるものもあるわけでして、それは何だろうと考えてみるに、或いはそれは「余白」なのではないかと思ったのです。この「余白」は物理的な意味と比喩的な意味とを論者も碌に区別せずに使っているのが曲者なのですが(苦笑)
 これに関連して、先日たんび氏がナヲコ作品について述べられた際、「体温の希求」というワードを使っていたことも思い起こされるのですが、「体温」のような直接描けないものを示す上で余白の示す意味は大きいのだろうと思います。

 とまあ、以上のようなことを、ナヲコ先生の作品評と『嫌韓流』を並べて書いていたページを見て思ったのですが、何故そんなことを思ったかといえば、『嫌韓流』のような漫画は概して「余白」が少ないものだからです。もっとも分かりやすい例としては、よしりんの『ゴーマニズム宣言』を挙げておけばいいでしょう。
 「余白」が少ないとはどういうことでしょうか。
 それは、読者に与える解釈の余地をなるべく少なくしようということなのではないだろうかと思います。言い換えれば、著者が自著の内容を自分の思った通りに読者に解釈させることに専心するということです。それは畢竟、著者の支配欲が作品発表の強い原動力となっているものでしょう(薬害エイズ事件や教科書運動をめぐるよしりんの動きを振り返れば、彼が自著の読まれ方について、上記のような傾向を持っていることは明らかといっていいでしょう)。
 そのような書物(含漫画)は、いわば読者に対する信用が低いというか、読者を自分の思う通りに誘導するという目的(欲望)がかなり多く含まれているのではないかと思います。もっとも、そういった傾向、いわば他者の解釈をノイズとして排除するような傾向は、先日も雑駁ながら書いたように、割と広汎に存在することのようにも思われますが。

 誤解を避けるために書いておく必要を感じますが、「意味内容を明快に伝える」ことと、「余白」が少ないこととは、同じことではありません。正確に意味内容を伝達しつつ、なおかつ豊富な「余白」を持つことは可能です。優れた研究書などは、意味内容を伝えた上で読む者が様々に自分なりの考えを紡ぎ出すきっかけを与えてくれます。
 これは「何を」伝えるのかという内容の如何に関らず、「いかに」伝えるのかという手段の問題ですから、意味内容自体が難解であろうと、あるいは意味内容そのものに重きを置かない場合であろうと、上手い下手は存在する話です。

 話を戻せば、以前もちょっと書いたことがありましたが、ナヲコ先生の作品に関し「『百合』度が低いから」といって評価を落としたりするという例があったりします(2ちゃんの百合スレでも、『DIFFERENT VIEW』に話が及んだ際「ペドがたくさん入ってるのがネック」「つーか思ったより百合話なかった気がしたが…」といった類似の例が見られる)。成る程、ナヲコ先生の作品は、そういった枠にはめたがる人には捉えどころがないように見られる可能性もあるとはいえ、ただ単にあてがいぶちの枠に当てはめるような(キャラクターに「ツンデレ」などと「萌え」属性のレッテルを貼るような)解釈よりも多少なりとも柔軟性を持って「余白」を見ることが出来れば、その「余白」に何か自分にとって大切なものを見つけ出す公算は決して低いものではないでしょう。

 正直、今回の検索で『voiceful』の感想について言えば、『DIFFERENT VIEW』のそれよりも小生にとって面白いものは相対的に少なかったという感があります。もしかすると、エロマンガでは「エロ」という描くべきお題がはっきりしているだけ、「余白」も際立ったのでしょうか? それもあるのかもしれませんが、思うにやはり「百合」のテンプレートに引きずられてしまって、女の子同士の関係ということに読者の着目点が集中してしまったことも一因ではないかと思ったりもします。
 あの物語の魅力の一つは、歌という絵に描けないものを漫画の主要な構成要因にしているところにあるのではないかと思います。具体的に描かれていない(描けない)けれど、いや描けないからこそ、歌声を感じさせる「余白」の持つ力が大きいのではないか、などとも思うのです。

 うだうだ書いてみたけどあまりまとまりませんね。第一「ショタ」の説明という点では一歩も進展しておらんがな。
 まだまだ修行が必要ですね。

by bokukoui | 2006-11-11 23:57 | 漫画 | Comments(4)

コスチュームカフェ17号店・顛末など

 というわけで、ここ二日ほど急遽企画を始めて告知したように、コスチュームカフェ17号店に出展してきました。
 新刊につきましては申し訳ありません。冬コミにはきっと・・・と今までも似たようなことを言っていたような気が・・・。

 コスカはすっかり大規模になり、都産貿の2階から4階まで使って開催されるのも通例になりました。今回当サークルは4階でしたが、いわゆる大手サークルをはじめとする、18禁などを扱うサークルは3階に集められていました。そのせいか、開場しても比較的人の流れは穏やかなように感じられました。その分3階は大変だったらしいですが。
 その3階の人の流れを捌くために、同人通の編集長氏(ここに登場)が参加していて、事のついでに顔を出してくれたり、いつもお馴染みの小出鞠さん檸檬児さんも来て下さいましたが、しかし、有体に言ってなんだか人の来るのが少ないような・・・あ、いや、売上が少ないのは新刊を出していない以上自業自得ですし、「新刊は?」と聞いてくださる方には土下座して詫びるしかないのですが、そもそも立ち止まってくださる方や見てくださった方の反応が今ひとつ以前より鈍いように感じられたのです。
 これもコスカが大規模化した分、「普通の」即売会になってしまい、制服系といいつつも実は制服にこだわるサークルさんや参加者がその分少なくなってしまったからかなあ・・・などと、帝国メイド倶楽部と引き比べて思うのでした。実はコスカのこういった傾向は、昨年ごろから段々と実感しつつあるのですが。

 ちなみに本の売れ行きが悪いと、個人的に困ることが一つあって、ちょうど手元不如意だったものですから、他のサークルの本を買いに行く軍資金がないということでした(苦笑)。幸い、時間が経つにつれ多少なりともお求め下さる方が出てくださったので資金は調達できたのですが、そうすると今度は渡辺プロデューサーコスプレ写真を撮りに行ったまま戻らず(笑)、なかなか出かける機会がありませんでした。
 とはいえ、最終的には頂き物を含めてこれだけの成果が。
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 画像はクリックするととても大きく拡大します。
 まだ読んでいないので詳細な紹介はしませんが、実在のお店の店員さんやドラマに出てくるメイドさん、学校制服など実物系の資料が中心なのはいつも通りですね。そしてコスカといえば何故か多い軍事系、今回も一点収穫しました。
 ・・・真ん中の何かが異彩を放っていますが、気にしないことにしましょう(なみりゅうこさん、いつもいつもありがとうございます)。
 詳しい紹介はまた折を見て。

 3階のサークルはあまり行きたいところがなく、ただいつもお伺いしている「初芝電産と11月の休戦」さんには行こうと思っていたのが、売り子業務に従事しているうちに機を逸してしまい、残念と思っていたところ終了間際に向こうから訪ねてきてくださいました。ありがたいことです。
 そしてもう一つ意外な出会いがあって、「ロールケーキ」というサークルのmizutamaさんという方で、このサークルの手伝いをしておられた方が渡辺プロデューサーの関係者だったりするのですが、実はナヲコ先生のファンで、それでネット検索して小生が書いた文章にたどり着かれたことがあった由。まこと奇縁であると感じ、その場に居合わせた渡辺プロデューサーも「世界は狭いなあ」と感心していました。個人的には、ナヲコ先生のファンが実は結構多いのではないかと思われて、とても愉快でした。

 もはや恒例行事と化しつつありますが、イベント終了後は「むしぱん(SORAARTRON)」の皆さんと、そして「ランスロットカフェ」のなみりゅうこさんと小出鞠さんとで、お茶を一服・・・と思ったらいつもの店が貸切だったのでウェンディーズにて遅い昼食を摂りました。小生にとっては喫茶よりこの方が良かったように思います。朝食はしっかり食べたのですが、午後になって矢鱈と腹が減り、しかし席を離れることも出来ず、しまいには会場を行き来する方々が身に纏っている、コスカならではというべきひらひらフリル一杯の衣裳を見ても、「可愛い~」「萌え~」とか思う以前に、「ワンタンメン食いたい・・・」と思うようになっていたからです(笑)
 少時歓談しますが、先ほど上に書いたようなコスカの規模拡大に伴う性格の変化、というのもこの席で話題に上ったことでした。制服系にこだわるならば帝国メイド倶楽部の方が濃い目でいい、ということに議論はまとまりましたが、しかしメイド系は帝メで何とかなるとしても、いわゆるファミレス系や学校制服系は、行き場に困るという感もあります。
 しかし、コスカがこういった問題を抱えているにもかかわらず今尚参加する意味があるのは、それは最後になみさんが仰っていたことですが、やはりその場に集う人間のつながりがあるからだということです。小生もそのご意見には全く賛成したいと思います。

 とまあ、まったりと一日イベントを楽しんできました。
 折角なので、明日も後夜祭として当ブログで制服系の話題を扱うこととしましょう。馬車道の話とか。

by bokukoui | 2006-11-05 23:57 | 制服・メイド | Comments(0)